石の上にも三年の本当の意味|仕事の三段階と転職の判断基準
『石の上にも三年』は新入社員によく向けられる言葉です。どんな業界、業種であれ、まずは三年間続けなさい、と言われます。
なぜなら、この三年間で『仕事ができる人』になるための型が身につくからです。
例えば道のつく、剣道・柔道・茶道・花道・書道などは型が体系化していて、この型を通じて秘められた才能を開花させたり、能力を引き出したりします。
そして、その型を破るから『型破り』といわれ、自分の中に秘められた能力や才能が発揮されます。しかし、基礎となる型がないと、『かたなし』といって自分勝手で自分の都合でやる状態になります。
この状態では本来のよさが出ないだけでなく、周りに仕事で貢献することも難しい「仕事のできない人」になります。
なので、この三年間でどのように基礎となる型を身につけるのか?がとても重要になります。
そこでこの記事は、新入社員・中堅社員・経営者など多くの人たちを劇的に成長させてきた、経営コンサルタントの小田真嘉さんに教わった『石の上にも三年』のうちに劇的に成長する方法をお伝えします。
もしかしたら、あなたは今の仕事環境に苦労され、現状を打破したい、そう思っているかもしれません。もしくは「三年も続けるのはつらい…」という気持ちがあるかもしれません。
もちろん状況によっては三年以内に転職するのも選択肢の一つなので、今の仕事を続けるのか、それとも転職なのか、その判断基準も記載しました。
なのでもし、仕事の型を身につけて仕事環境を改善し、石の上にも三年の期間を最高のものにしたいと思うのなら、もしくは三年間どう過ごそうか迷っているのなら、ぜひ、この先をお読みください。
目次
石の上にも三年の一般的な意味
石の上にも三年の意味は、広辞苑には以下のように書かれています。
(石の上でも3年続けてすわれば暖まるとの意から)辛抱すれば必ず成功するという意。
三年座り続ければ、冷たい石でも暖かくなるよ、つまり、たとえ辛くても長い間、辛抱して続ければ必ず成功するよ、という意味です。
石の上にも三年の由来
石の上にも三年の由来は、
・インドの仏教の僧侶のバリシバ尊者という人が、悟りを開くために、石の上で三年間座禅して一度も休むことはなかった
・禅宗の開祖の菩提達磨(ぼだいだるま)という僧侶が9年間座禅を組んで修行した
という説があります。
石の上にも三年の例文
石の上にも三年の例文としては、
・石の上にも三年というように、今の職場で三年間は頑張って欲しいと思う
・石の上にも三年というように、途中で諦めては中途半端で終わってしまうよ
・石の上にも三年というように、困難な状況でも、とにかく続けて欲しい
など、困難な状態が続いたとしても、長い目でみて判断して頑張って欲しい、というような使い方になります。
さて、上記が一般的な説明に当たるものですが、実は「石の上にも三年」には、別の意味があると私は考えています。
というのもただ、なんとなく三年を過ごすだけでは、大きな成長は得られないことがあるからです。
石の上にも三年の本当の意味
石の上にも三年の精神で過ごすのはとても大事です。
ですが、その上で、今からお伝えする守・破・離の三年間を過ごしたら、10年後、20年後が劇的に変わるはずです。
なのでここからは石の上にも三年の「三年」をどのように過ごしたらいいのか?についてお伝えします。
石の上にも三年は一年ごとにテーマが変わり、三年経って完成する、というイメージです。
まずは一年目から一つずつお伝えします。
石の上にも三年の「一年目(一念)守」
石の上にも三年のうち、一年目には何に注目したらいいのかというと、『一念』です。
一念とは、「よし、これをやるぞ!」と自分の中に一つの念を燃やすことです。
仕事で自分が、新入社員で入った、新しい分野を担当することになった、など新しいことを始めるときに、もっとも大事なのはその一つの仕事に燃えることです。
燃えて、腹を決める。一年目というのは、腹を決めるのがテーマです。
道を極めるには守破離という3つの段階があります。
1年目は「守」です。まさにこの一念の時期というのは、燃えて腹を決めて、言われたことをひたすら守ることが大事です。
「徹底的に全部やってやる!」
「言われたことは、なんでも全てやってやろう」
「この三年間で自分の能力や才能を開花させるぞ」
と、腹を決めて、必死に食らいついていくという一念が必要です。
石の上にも三年の「二年目(担念:にねん)破」
2年目は、守破離の破にあたり、先輩や上司の意志や意図を汲み取って自分なりにアレンジ(=破っていく)していく段階です。
念(意志)を担う(汲み取る)=担念(にねん)、という言葉に置き換えると2年目はどうすれば良いのか、覚えやすいかと思います。
・どれだけ先輩、上司の思いを汲み取り、どれだけ引き継げるのか
・どれだけ先輩・上司の感覚や判断基準、目指す理想そして五感や感性を感じられるか
など、どれだけ自分の腹に落とすかが大事です。そして腹に落とすために、体験を経験に変えることが大事です。
先輩や上司の指示通りに身(=体)をもって経験して感じる「体験」から、
・この出来事はこういう学びだったな
・こんなことをやってちゃいけないんだな
・上司が大事だと言っていたのは、そういうことだったのか
と、学びや気づきを得たら、それが経験や教訓になっていく。二年目はこれをひたすら繰り返します。
そして先輩や上司、または先生のいうことを自分の言葉で解釈し、表現力を磨いていきます。仕事はその場の状況に合わせた判断が大事です。
なので、あの上司だったら、社長だったら、この時どんな判断をするだろうか、何を基準に決めるんだろうか、という判断基準や価値基準を想像して、自分の中に取り入れることが大事です。
そうやって先輩や上司の念を担えるようになってくると、
・どこをアレンジしたらいいか
・どこを変えたらいいのか
がわかってきます。これが「破る」ということです。二年目は必死になって先輩、上司の念を担い、自分の腹に落とすかが大事です。
石の上にも三年の「三年目(撒念)離」
そして大事なのがこの三年目です。
・一年目は腹を決めて、言われたことをひたすらやる時期
・二年目は腹を落とすために、体験を経験や教訓に変える時期
を経て、
三年目は腹を見せて、先輩や上司、諸先輩の方々から引き継いだものを、周りに広げていくことで自主自立をしていく段階です。
・自分で考えて
・自分で判断し
・自分で動き
・自分で結果を確認し
・失敗やクレームが起きたらもう一度考え直して修正し
・クレームにも後始末をしっかりする
そのように自分で考えて、自分で判断し、自分で行動することが、三年目に必要なことです。
こうして先輩や上司の念を、周りに撒いていくのが撒念(さんねん)です(守破離の「離」の段階)。
自主自立するためにどんな仕事でも、どんな職業でもやりきる意志が大事です。
なので石の上にも三年という、この石とはまさに意志と言い換えることができます。
そして、
・先輩、上司の意志を受け取り(=守)
・受け取った意志を自分でアレンジして(=破)
・自主自立で周りに広げていく(=離)
そうすることで秘められた能力を発揮し、才能を開花することができます。
仕事をスタートして最初の三年はのちの10年後、20年後の雛形となり、方向性が決まってくるのでとても重要です。
なので強い意志を持って、この三年間を過ごすようにして欲しいと思います。
石の上にも三年か、転職か
ただし、今の仕事が、
・尊敬できる人や仕事ができる人、信頼できる人がいない
・自分の成長のチャンスもなく、周りも成長意欲がない
・自分がチャレンジしたいと思っても、受け入れられない
のように何かを極められる環境ではない職場だったり、仕事だったりするなら、それはすぐに転職したほうがいい、と思います。
でも、
・憧れる人や尊敬できる人いて
・周りも成長し変化もしていて
・チャレンジさせてくれるような環境
なのであれば、
まずは一年目の一念で腹を決めて燃えて「やるぞ!」と覚悟を決めてやること。一年目には燃えてなんでもやる。ひたすらに守ってひたすらがむしゃらにやります。
そして二年目はだんだん、会社や仕事のことや、意志や念がわかってきます。そしてそれを腹に落として、自分なりの表現をして体験を経験に変えていって(=破)、判断基準、価値基準を取り入れて行きます。そのうちにわかるようになってアレンジができるようになります。
三年目は、こうして創ってきた自分の意志を、周りに腹を見せて本音で誠実に語って、行動して周りに広げて行きます(=離)。
一年、二年と続けてきて、三年後に自主自立して行動ができるようになった時、
「ああ、この三年でものすごく成長できたな」
と驚くはずです。
そして今度は四年目から、自分が学んだ「念」を人にバトンタッチして、伝える側や教える側、もしくは育てる側になっていきます。そうして「石の上にも三年」は、次の世代に引き継がれていきます。
ここまでは、「石の上にも三年」を過ごすために、新人や部下が意識するポイントについてお伝えしました。ここからは視点を変えて、上司が部下を指導する際に必要な考え方をお伝えします。
もし、あなたが上司の場合は部下の指導方法がわかります。また、もしあなたが部下の場合は、上司がどのように考えているのかわかるはずです。それぞれの立場によって解釈の仕方が変わるのでわかりづらいですが、読み進めてもらえたらと思います。
上司の立場の「石の上にも三年」
上司にとって新しい社員の受け入れは嬉しいものです。新しい雰囲気が作られるし、教えながら上司が学ぶことも非常に多いからです。
会社が雇った新人はその時点では、金銭的な価値を生み出すことはできません。上司が指導する経費や新人への給料など、むしろ赤字と言えます。
それでもお金を払いながら、独り立ちして、会社に貢献できる人材になるように先行投資を三年以上続けて育てているのです。
では、新人に劇的に成長してもらうためにはどうしたらいいのか、一年目、二年目、三年目と、一つずつお伝えしていきます。
上司の一年目
石の上にも三年の一年目は念、つまり熱意を上司が部下に与えるようにします。
部下を教育する際は、
・どれだけ部下に腹を決めさせているか
・どれだけモチベーションが上がる伝え方をしているか
・夢を持てるように関わっているか
・無関心や放置をせずにちゃんと見ているか
など、ちゃんと目をかけて、熱量を持って仕事に取り組めるように、環境を整えるのが大事です。
今の仕事が暇とか面白くない、もしくは忙しすぎるとかプレッシャーがキツいなど、部下が「石の上にも三年」が続かない理由は様々です。
でもその原因は、部下のやる気のなさとか、モチベーションの低さとか、今の若者の性格などではありません。
三年続けられるような想いを上司が熱く何度もなんども語り、その上で部下に興味関心を与え、仕事上のチャレンジを促すことが大事です。
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上司の二年目
そして二年目は、上司は部下に“先輩や上司の念を担うように”と伝えます。そして仕事内容を自分なりにアレンジするように促します。
部下が仕事ができるようになるために、上司が具体的な内容や、やり方を指導する必要があります。
その上で、
「どうして、そういう判断や選択をしたのか?」
と、部下に判断基準を教えたり、押さえるべきポイントや、目標の基準を伝えるようにします。
場合によっては、部下が思い切ってチャレンジして、失敗することもあるでしょう。
失敗したら部下は落ち込んで、積極性がなくなってしまうかもしれません。
でもそんな中でも、この苦しい体験を、より大きな学びや気づきに変えられるように、サポートすることも必要です。そうやって部下に腹落ちさせることができれば、より仕事にやりがい・生きがいを感じられるようになります。
痛み、苦しみも一緒に味わいながら、何がいけなかったのか、どうやったら仕事が進み、組織が良い方に向かうのか、一緒に体験を経験に変えられるように、膝を突き合わせて考えてあげるようにします。
上司の三年目
そして三年目の上司の役割は、自分で判断して行動できるように部下を一人前に育てることです。
部下本人の思いや意志を尊重し、お尻を叩いて、新しいことにチャレンジさせます。
一人で動くように指示を出しつつも、静かに本人の様子を見て、状況に合わせて動けるように見守り続けます。
翼を持ったひなが巣の周りを自分で飛ぶように、少しずつ行動範囲を広げる姿を親鳥が見守るような感じです。
そうして巣立ちの時に一人前になって、教育に掛けたエネルギー以上に結果を出す有能な社員になっていくのです。
部下と上司をつなぐ『石の上にも三年』
石の上にも三年は、新入社員など新しく働きはじめた人だけが意識するものではありません。
会社がとても苦労して採用した新人というダイヤの原石を、会社に貢献できるように、上司が最後まで磨き上げる必要があります。
石の上にも三年は、部下と上司が二人三脚で作り上げていくものです。
「石」とは「意志」と言い換えることができると先ほどお伝えしました。
もし、あなたの上司が厳しすぎるとか、仕事で困難に直面したとしても、上司の意志の元に、『意志の上にも三年』続けたのであれば、とてもとても成長できるのです。
石の上にも三年が続かないのは、コントロールする側の上司のせい、会社のせい、というのはありえます。
今の若者が
「欲しいものは特にない」
「やりたいことはなく、そこそこ生きられればOK」
という場合があったりしますが、それは本当に、欲しいもの、やりたい事がないのではなくて、
やりたい!と思えるような夢をみたことがないだけかも知れません。
・自分が成長できる夢
・業界がよくなり、世の中が変わっていく未来
・商品やサービスを使ったお客様が喜ぶ姿
・今の目の前の小さな仕事が、バトンタッチを続けて大きなことにつながっている事
そうした、新人にはまだ見えない、わからないことを伝えて夢を与えるのが、一歩先の人生を進んでいるものとしてのお役目です。
その意志(=石)の上、後ろに新入社員や部下が付いてくるのです。
あなたの上司も若い頃に「石の上に三年」を過ごしてきたかもしれません。
あなたの上司からその上司、さらにその上司から上司へと「石の上にも三年」は、何十年、何百年かけて、業種や仕事を超えて伝えられてきたものかもしれません。
石の上にも三年、その心の念を大切にしながら働けるような関わり方が、上司にも、部下にも必要です。
なので、この記事でお伝えした本当の意味での「石の上にも三年」を意識しながら、仕事にチャレンジしてみて下さい。