出過ぎた杭は打たれない|松下幸之助の名言の意味と突き抜ける方法
牛窪俊浩です。
『出過ぎた杭は打たれない』。松下幸之助さんを始め、何か世の中を変えてきた人たちや、会社を変えてきた人たちは、常に出過ぎた杭になってきました。
日本の風習・風土の一つに、調和や同調を重要視する文化があります。
しかし、調和から外れたり、出ようとしたりした時に、周りが足を引っ張ったり、杭を叩くように潰すことがあります。これは日本の悪しき伝統、風習、文化であり、改善する必要があります。
もし、使命感に燃えて部署や会社を良い方向にしたり、世のため人のためにやろう、業界を変えようと思うのなら、突き抜けて、出過ぎた杭になることが大事です。
しかし、闇雲に行動しても、『多少の出る杭』になったくらいでは叩かれ潰されてしまいます。
出過ぎた杭になるには、どうしたらいいのでしょうか。
この記事では、経営コンサルタントの小田真嘉さんに教わった『出過ぎた杭になる方法』をお伝えします。
私は、本当に出る杭のように、打たれて個性を潰された人をたくさん見ました。彼らは前向きな気持ちで、業界をよくしたいと思って行動していたのに、とても勿体ないと思います。
そこで、出過ぎた杭になる方法を3つのステップでお伝えします。もし、出過ぎた杭になって、会社や業界を変えたいと思うのなら、ぜひ、この記事をお読みください。
目次
1.「出過ぎた杭は打たれない」松下幸之助の名言
松下幸之助さんは、以下のような名言を残されています。
「出る杭は打たれるが、出すぎた杭は打たれない」
一般的なイメージとしては、叩かれても打ち返すような技術や精神が必要と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
松下幸之助さんは、ご自身の成功は「貧乏、学歴のなさ、体の弱さ」だったと分析しています。
自分に能力がないと悟っていたからこそ、自分の力を過信せずに、他の人の力を借りながらモノ作りをされていたのです。
出過ぎた杭というのは、能力で突き抜けるのではなくて、もっと別の場所で突き抜けるのです。
出過ぎた杭になるために、どうやったらいいのか、これから3つのステップでお伝えします。
2.出過ぎた杭になる3つのステップ
出過ぎた杭になるためには、まず、大前提として叩かれることを恐れないことが大事です。
かといって、最初から目立とうともしないことです。
2-1.水面下で進める
出過ぎた杭になるために1つ目のステップは、まず水面下で作戦を進めることです。
周りに気づかれないように自分の中で作戦を練って
「お客様が本当に求める商品とは、どんなものかな」
「こんな商品だったら、お客様は喜ぶかな」
「業界は変わるかな」
と、自分の中でアイディアを温めます。具体的には、情報を調べて集めたり、現場スタッフから情報を直接聞いたりします。その上で自分が扱う商品やサービスが、お客様や業界、世の中にどのように求められているか、を知ることが大事です。
周りに気づかれないように、作戦を練ってプランを温めて、作り上げていきます。そこで特に注意したいのが『焦らないこと』です。
自分の杭を、出過ぎようと思うあまりに途中で折れてしまったり、なかなか伸びなかったりするのは、焦るからです。
出過ぎた杭になるための1つ目のステップは
- 水面下で人知れず進めておく
- でも焦らない、気にしない、比べない
です。そうやって一気に飛躍する時まで、水面下で焦らず、じっとその時を待つのです。その上で、二つ目のステップを解説します。
2-2.ゲリラ戦で一人ずつ仲間を増やす
水面下で準備が整ってきたら、一人ずつ仲間を増やしていきます。出過ぎた杭になるには、絶対に味方が必要です。
味方を増やすために、ゲリラ戦のように一人ずつ、ひとりずつ味方を増やしていきます。
つい、やりがちな失敗は、いきなりみんなに
「俺、業界を変えるために、特別なプロジェクトを立ち上げようと思っているんだ」
「私には、まだ誰も考えていないような大きな計画を練っているの」
と、一気に仲間を増やそうと思って、不特定多数に向けて発表したり同意を求めたりしてしまうことです。
味方の作り方はそうではなくて、一人ひとりと対話して口説き落とすことが必要です。
出過ぎた杭になるためには、強力な味方をつけることが大事です。強力な味方がいることで、いざという時に後押ししてくれたり、心の支えになってくれます。
会社の中であれば、社長や役員、部長や信頼できる上司など、誰を一番の味方にするかを考える必要があります。
もしいきなり社長、というのがハードルが高い場合は、部長や直属の上司を経由した方がいいかも知れません。
ただ、保身に走る上司や、目の前の仕事に追われて本質が見えていなかったり、新しいことにチャレンジしたがらない上司には注意が必要です。
なので、もっと抽象度が高く、全体が見えている人を味方につけることがポイントです。
今やろうとしていることは、会社全体やグループ全体、業界にとって、いかにいいことなのかを口説くように伝えます。
そして、決して自分のわがままや個人的な感情でやるのではありません。全体のためになることなのです。という風にしっかりと話します。このように理念や理想、信念を伝えることが重要です。
そうやって味方を一人増やすことができたら、次はまた一人、その次もまた一人・・・と同じように一人ひとりに話しかけ、着実に足場を固めて行きましょう。
この時期は、あなたの動きによって何かしらの不穏な空気を察知する人もいます。また、誰かに気づかれて、変な噂を流される場合もあります。でもそれは気にしないで進めてください。
でも、余計なトラブルは『絶対に避けるべき』です。喧嘩を売ったりだとか、批判したりだとか、誰かを公の場で公開処刑のように「あの人が悪い」と批判したりだとかは避けてください。
この時点でやることは、できる限り力を温存して、水面下で進めて、ゲリラ戦で味方を増やすことです。
戦いの基本、必勝パターンは、人類の長い戦いの歴史を見ても変わることはありません。すなわち
圧倒的な実力差がある場合は、正面から一気に戦うことです。しかし多勢に無勢で不利な場合は、地の利を生かして水面下で草陰に隠れてゲリラ戦を行います。
今、育てている杭が、『出過ぎる』までは
- できる限り、敵を作らず
- できる限り、足場をかため
- できる限り、味方を増やし
準備しながら、じっとその時のチャンスを待つようにします。
2-3.外部からの評価から攻めに転じる
3つ目です。日本人は外からの評価に弱いのです。江戸時代の黒船のように、日本人は突然、外の世界から来た意見に押されて、自分たちが行った評価を自らひっくり返すことがあります。
「禅の教えをスティーブ・ジョブズが熱心にやっていたらしい」
と、禅の教えに全く興味がなかったとしても、海外から急に評価されたら日本人は禅を誇りに思うようになったりします。
例えば職場における例をあげれば、自分が携わっているあるプロジェクトが、社内においてそれほど評価の高いプロジェクトではなかったとします。
しかし、他部署やお客様、他業種など、外からの評価が高いと知ると社内の評判は手のひらを返したように一気に変わります。
それが権威のある相手からの評価の場合は、より強く影響を受けます。
したがって、誰も打ち込めないくらいの出過ぎた杭になるためには、外から応援してもらい、評価してもらうことが必要です。そうやって一気に攻めに転じていきます。
『ローマ法王にお米を食べさせた男』という書籍があります。
石川県羽咋市の市役所職員・高野さんが地域活性化のために、地域のお米をブランド米にしようと考えました。
そこである突拍子もないアイディアを思いついたのです。
そのアイディアとは、ローマ法皇に地域のお米を食べてもらってブランド化することだったのです。
当然、その内容を知る村人からは、ものすごく反対され、白い目でみられました。
それでも高野さんは、水面下でこのアイディアを進めて、味方を増やして、外からの評価を得るために、ローマ法皇に試食をいただけるよう問い合わせました。
そうして、ローマ法皇からブランド米のお墨付きをもらったのです。そうやって、外からの権威ある評価を得ることによって、地域の人たちが持つお米に対する低い評価を一気に覆したのです。
まるでオセロのように、マス目の外側をじわじわと味方を作って埋めて行き、ある瞬間に一気に中央を反転させて味方にする。というのが出過ぎた杭戦法になります。
3.出過ぎた杭が時代を変える
この出過ぎた杭になるには、気をつけなくてはならない注意点があります。
それが自我や自己満足で周囲を黙らせたり、復讐するために、出過ぎた杭になることです。このような出過ぎた杭は、人を傷つけたりします。
そうではなくて、全体や周りの人のことを考えた上での出過ぎた杭になるのが、本物の出過ぎた杭です。
すなわち、役に立って、みんなのためになるような、出過ぎた杭になろうとすることが大事です。
有史始まって以来、新しい商品やサービスが人類を進化発展させてきました。その背景・裏側には必ず、出過ぎた杭があり、彼らが時代を変えてきたのです。
なので、業界を変え、時代を変えるためには、もっともっと突き抜けて出過ぎた杭になる必要があります。
自分がやっている仕事を通じて、みんなのために、世の中の人のためになるようなことを実行して行きましょう。