売上減少の対策7つと売上減少の原因を発見する2つのフレームワーク
「売上が減少した原因がわからない」
「売上を回復させたいが、打つべき対策がわからない」
そのような悩みにお答えします。
売上が減少しているのに何も対策できなければ、その先に待っているのは会社の倒産です。
会社経営では、売上がずーっと右肩上がり、というのは非常に稀です。売上が上がることもあれば、下がることもあるのが普通です。
だからこそ、売上が下がったときに回復する対策が打てるかどうかは、会社の命運を大きく左右します。
当然、経営者が適切な対策を打てる会社は繁栄していきます。売上が減少したときに、いつでも適切な対策を打つことができれば、会社経営で追い込まれることも大幅に減るでしょう。
そこで今回の記事では、以下の3つのことをお伝えしていきます。
- 売上が減少する原因11個
- 売上減少の原因を発見する2つのフレームワーク
- 売上が減少したとき打てる7つの対策
まずは、「売上が減少する原因11個」からお伝えします。
自社の売上減少の原因を知ることが、売上減少を食い止める最善の対策を導き出す第一歩です。
あなたの会社の売上減少の原因はどれか、1つ1つチェックしながら読み進めてみてください。
売上が減少する原因11個
売上が減少する原因は、主に「外的要因」と「内的要因」の2つに分けられます。
第1章では、「売上が減少する原因」として、以下の11個を紹介します。
「売上が減少する主な5つの外的要因」
- 流行の影響
- 周囲の環境の変化
- 同業他社の業績アップ
- 商品やサービスのイメージの悪化
- ホームページやSNSのアクセス数の減少
「売上が減少する主な6つの内的要因」
- 新規顧客が獲得できていない
- 既存顧客のリピート率がダウンしている
- 既存顧客が離脱している
- 客単価が低下している
- 商品やサービスの質が低下している
- 何も実施していない
1つずつ詳しくお伝えしていきます。
1-1.売上が減少する主な5つの外的要因
売上が減少する外的要因とは、会社外で起きている売上減少の原因です。
世の中の変化に対して対応していかなければ、売上は下がります。
まずは、世の中の変化に対応できていない部分がないかチェックしてみましょう。
1-1-1.流行の影響
売上が減少する外部要因の1つに、「流行」があります。
「流行」に乗ることができれば、売上は大きく増えます。しかし、その「流行」が終われば、一気に売り上げが下がるでしょう。
たとえば、2019年には若い人の間で「タピオカドリンク」が流行りました。
タピオカドリンクは20年以上前から日本にもあるものですが、「流行」ができて、需要が爆発的に伸びたため、タピオカを扱う企業も増加しました。
しかし、当然ながら流行が終われば、多くの店舗で売上が大きく減少するはずです。
また、2008年に「朝バナナダイエット」がテレビで話題になった際には、バナナがバカ売れし、品切れになるスーパーが続出しました。
流行っている時期は当然バナナの売上が多く伸びたものの、流行りが終われば、売上は落ちていきました。
もしあなたの会社が、流行に乗る事業をしているのであれば、扱う商品やサービスの流行が冷めてきているために、売上が減少している可能性があります。
1-1-2.周囲の環境の変化
周囲の環境の変化も、売上が減少する原因になります。
たとえば、静かで落ち着けることがウリのカフェだったのに、近くに工場ができて騒音のせいでうるさくなってしまったら、お客さんは減るでしょう。
また、バスや電車の本数が減って交通の便が悪くなったりすると、お客さんの来店回数が減る可能性が高いです。
売上が減少している場合、最近周りで何か変化がなかったかチェックしてみると原因が発見できるかもしれません。
1-1-3.同業他社の業績アップ
同業他社の業績アップも、売上減少の原因の1つになります。
同業他社が自社よりも良い商品やサービスを出してきたり、テレビCMやキャンペーンを行ったりすれば、自社のシェアが奪われることがあります。
同業他社が新商品のリリースやキャンペーンをしていないかは、常にチェックしておくことが大切です。
1-1-4.商品やサービスのイメージの悪化
売上減少の原因として、商品やサービスのイメージが悪化しているケースもあります。
2020年現在では、TwitterやInstagramなど多くのSNSが流行っており、悪い評判は一瞬で広がってしまうことがあります。
「店員のサービスが悪かった」「全然効果がなかった」といった口コミが広がってしまえば、離れるお客さんも出てきてしまうでしょう。
また、業界全体のイメージが悪くなり、業界全体の売上が下がる場合もあります。
たとえば、影響力のある有名人が「サプリメントなんて全部意味ない!」と言ってしまったら、業界全体に影響を及ぼす可能性があるということです。
自社の商品や業界のイメージが悪くなるようなことが起きていないかどうか、常に情報を集めておくことが大切です。
1-1-5.ホームページやSNSのアクセス数の減少
ネットを中心に集客を行っていた場合、ホームページやSNSのアクセス数の減少が、売上減少の原因になっている場合があります。
ホームページであれば、GoogleやYahooの検索順位によって、アクセス数が大きく左右されます。
検索順位が下がれば、アクセス数も下がります。
Advanced Web Rankingが調査している2019年12月データによると、検索順位が1位から2に下がるとアクセス数が約半分になってしまうことがわかります。
また、SNSであれば、ユーザーに話題に取り上げてもらえているかがアクセス数のカギになります。
なので、ホームページの検索順位やSNSで話題にされている回数など、ネットの集客が落ち込んでいないかチェックすることも大切です。
以上が、「売上が減少する外的要因」の5つでした。
続いて、「売上が減少する主な6つの内的要因」をお伝えしていきます。
1-2.売上が減少する主な6つの内的要因
売上が減少する内的要因とは、事業内容の影響による売上減少の原因です。
事業を進めていく上でうまくいっていない部分があれば、売上が下がる可能性があります。
まずは、事業が停滞するような変化がなかったかチェックしてみましょう。
1-2-1.新規顧客が獲得できていない
新規顧客が獲得できていなければ、売上は下がります。
既存顧客全員がリピーターになることは非常に稀で、新規顧客を獲得できなければ、顧客の数が減っていく一方です。
売上減少したときには、最近の新規顧客の獲得数が減っていないかチェックしてみましょう。
1-2-2.既存顧客のリピート率がダウンしている
既存顧客のリピート率が下がることも、売上減少の原因になります。
顧客の数自体が変わらなくても、顧客が購入してくれる回数が減れば売上は下がります。
これまで何度も購入してくださっている顧客の購入回数が減っていないかはすぐにチェックすべきです。
もし減っていたとしたら、「購入回数が減っている理由」も併せて確認し、対策をとっていくことが重要です。
1-2-3.既存顧客が離脱している
売上減少の原因として、「既存顧客の離脱」も挙げられます。
「他社の商品に切り替えてしまった」「もう必要なくなってしまった」などの理由で、顧客があなたの商品やサービスを購入しなくなってしまう場合があります。
一度獲得した顧客が離脱するのは大きな痛手です。
以前よりも顧客が抜けていく量が増えていないかは、必ず確認するようにしましょう。
1-2-4.客単価が低下している
客単価の低下も、売上減少の原因の1つです。
顧客が高い商品から安い商品に切り替えてしまっていないかや、購入する量が減っていないかをチェックしてみましょう。
また、売上を回復させるために値下げを行った場合も、客単価が低下することがあります。
その分、新規顧客が増えて、売上が回復しているのなら良いですが、売上が回復していないのに客単価が下がってしまっていたら要注意です。
対策の見直しが必要かもしれません(具体的な対策については第3章でお話しします)。
1-2-5.商品やサービスの質が低下している
商品やサービスの質が低下することによって、売上が減少することもあります。
商品やサービスの質が低下すれば、顧客はいずれ気づきます。
気づいた顧客は、商品やサービスを買わずに離れていってしまうでしょう。
商品やサービスの質が低下していた場合は、その理由もしっかり確認することが大切です。
現場のスタッフに教育が行き届いていないのか、仕入れる原料の質が下がっているのか、といった原因によって取るべき対策が変わるからです。
1-2-6.何も実施していない
事業がうまくいっているときに、さらなる商品改善や社員教育などを行っていないと、売上が減少することもあります。
事業が成功しているときは、売上が伸びていくでしょう。
しかし、同業他社はより良い商品やサービスを作り、あなたの会社を追い抜こうと改善改良を進めてきます。
多くの顧客は、あなたの会社の商品ではなく、より良い商品を求めています。
なので、もし同業他社がより良い商品を開発すれば、そちらに顧客が流れてしまいます。
売上が下がったときに対策を実施するのも大事ですが、順調なときにも常に何かを実施し続けることも非常に重要です。
以上が、「売上が減少する原因11個」でした。
売上が減少した原因を明確にして、その原因に合った対策をすることで、売上回復を図ることができます。
続いては、売上が減少した原因をさらに掘り下げて、整理するフレームワークを紹介していきます。
原因をより詳しく分析することで、より最適な対策を実施することができ、売上が回復できる可能性が高まります。
2.売上減少の原因を発見する2つのフレームワーク
第2章では、「売上低下の原因を発見するフレームワーク」として、以下の2つを紹介します。
- ロジックツリー
- PEST分析
1つずつ詳しくお伝えしていきます。
2-1.ロジックツリー
ロジックツリーとは、現状に対して「Why(なぜ?)」という質問を繰り返していくことで、問題の根本原因を探っていくフレームワークです。
「売上が低下している」という現状があれば、「なぜ、売上が低下しているのか?」と原因を掘り下げます。
その答えが「商品の質の低下」であれば、「なぜ、商品の質が低下したのか?」と、さらに原因を掘り下げていきます。
このように原因を掘り下げていくことで、根本原因にたどり着けます。
根本原因がわかったら、今度は根本原因に対して「How(どうやって?)」を繰り返し、解決の手段を探っていきます。
たとえば、「仕入れる原料の質が下がった」という原因があれば、「どうやって、原料の質を戻すか(さらに上げるか)?」と、解決策を探っていきます。
ロジックツリーは、「Why(なぜ?)」と「How(どうやって?)」を何度も繰り返していくだけなので、汎用性が高く、社内に導入しやすいフレームワークだと言えます。
2-2.PEST分析
PEST分析は、問題の外部要因を分析、整理するフレームワークです。
PESTは「Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)」の頭文字をとっています。
たとえばあくまでイメージですが、「タピオカドリンクの売上が低下した」場合にPEST分析を行うとしたら、以下の図のようになります。
あなたの会社の売上が下がった場合は、PESTそれぞれの要因も調査してみて下さい。
以上が、「売上低下の原因を発見する2つのフレームワーク」でした。
分析をどれだけ細かく行えるか、その分析結果をどれだけ整理し対策につなげられるかで、売上回復ができる可能性が大きく変わります。
ロジックツリーもPEST分析も、カンタンに使えるフレームワークです。
なので、売上低下の原因を詳細に分析したり、分析結果を整理したりするために、ぜひ使ってみてください。
次の章では、「売上が減少したときに打てる7つの対策」をお伝えしていきます。
あなたの会社で採用できる有効な売上回復対策はどれか、チェックしながら読み進めてみてください。
3.売上が減少したときに打てる7つの対策
第3章では、「売上が減少したときに打てる対策」として、以下の7つを紹介します。
- 分析する
- 資金がショートしないように経費を見直す
- 新規顧客の獲得(集客)を増やす
- 既存顧客の掘り出しやリピート率アップを図る
- 客単価を上げる
- 商品やサービスの質を高める
- 従業員のモチベーションを上げる
1つずつ詳しくお伝えしていきます。
3-1.分析する
売上が減少したときに、まず最初に行うべき対策が「原因の分析」です。
原因を分析せずに、ネットやセミナーで「売上回復施策」と謳われたノウハウを仕入れて、ただそれを実施しただけでは、売上が回復する可能性はかなり低いです。
自社に合った対策を実施しなければ、逆にさらに売り上げが下がってしまう可能性もあります。
ここまで第1章で売上が減少する主な原因を、第2章で原因を詳細に分析するフレームワークをじっくりお伝えしてきました。
なのでまずは、第1章と第2章を参考に、あなたの会社で売上が下がった原因をしっかりと分析してみてください。
3-2.資金がショートしないように経費を見直す
売上が減少したときには、資金がショートしないように経費を見直すことも重要です。
売上が減少しても、事業に掛かる経費があまり変わらないとすると、ほとんどの場合、大きな赤字が出ます。
このとき、もし手元にある資金が少なければ、近いうちに資金がショートする可能性があります。
資金がショートし、会社が倒産するのは最悪の事態です。
なので、経費を削減し、赤字を減らすことで、売上回復の施策を行う時間を確保することが大切です。
もちろん、経費を削減して、売上がさらに下がったり、売上回復の施策を打てなくなってしまったりしては意味がないので、削減できる経費の見極めはしっかり行いましょう。
3-3.新規顧客の獲得(集客)を増やす
あなたの会社の売上減少の原因の1つに、「新規顧客が獲得できていない」が挙げられているのであれば、新規顧客を獲得することで売上を回復させることができます。
新規顧客を増やす方法は、以下のような方法があります。
- 新聞や雑誌、テレビなどの既存メディアの広告
- インターネット広告
- チラシのポスティング
- ホームページのSEO対策
- SNSを使ったプロモーション
新規顧客を増やす方法はほかにもたくさんあります。
あなたの会社に合った集客方法で新規顧客を開拓していきましょう。
3-4.既存顧客の掘り出しやリピート率アップを図る
最近購入していない既存顧客の掘り出しやリピート率アップを図ることでも、売上を回復させることができます。
購入頻度が減っている顧客が多い場合は、この施策が有効です。
既存顧客に再度購入してもらうには、まずは既存顧客に自社のことを思い出してもらうことが重要です。
顧客は常にあなたのことを考えているわけはないので、思い出してもらわないと忘れられてしまうからです。
顧客に自社のことを思い出してもらうには、以下のような方法があります。
- 手紙やメールの送付
- 既存顧客向けのイベントを開催
- パンフレットや無料サンプルの送付
積極的な顧客フォローを行い、一度顧客になってくれた人に継続して喜んでもらうことが大切です。
3-5.客単価を上げる
客単価を上げることでも、売上の回復を図ることができます。
客単価の低下により、売上が下がっている場合に有効な対策です。
客単価を上げるには、以下のような方法があります。
- 商品やサービス自体の価格を上げる
- 1つの商品に関連する商品もセットで購入してもらう
- 最初からセット販売をする
- 高額商品を体験できる機会を作る
- 接客時に高額商品やセット購入の案内を行う
客単価を上げることで、顧客数を増やさなくても売上を伸ばしていくことができます。
当然、客単価を上げたうえで顧客数を増やせば、より効率よく売上を伸ばしていくことができます。
そのため、客単価は積極的に上げていくことをオススメします。
3-6.商品やサービスの質を高める
商品やサービスの質を高めることでも、売上の回復を図ることができます。
商品やサービスの改善を行えば、顧客がより喜んでくれるため、新規顧客の増加や既存顧客のリピート率アップにつながります。
顧客が満足してくれれば、より高額な商品も検討してくれる可能性が高まるので、客単価アップにもつながるでしょう。
事業を繁栄させていく上で、商品やサービスが良いことは大前提です。
同業他社の改善改良に負けないくらい、より良い商品やサービスの開発を進めていきましょう。
3-7.従業員のモチベーションを上げる
売上の回復を図るには、従業員のモチベーションを上げることも重要です。
いくら素晴らしい対策を考えることができても、現場で実際に動く従業員のモチベーションが低ければ、思い描いた対策通りに実施してもらえない可能性が高いです。
すると、思い通りの結果を得ることができません。
なので、経営者と現場の従業員が一致団結して、売上減少という課題を乗り越えていくためにも、従業員のモチベーションを高めることが大切です。
従業員のモチベーションが高ければ、売上回復の施策を現場でさらにアレンジして、より良い結果を出してくれる可能性もあります。
従業員のモチベーションを上げる方法は、別記事『社員のモチベーションが低下する3つの原因と向上させる4つの方法』で詳しくお伝えしています。ぜひ、併せてお読みください。
以上が、「売上が減少したときに打てる7つの対策」でした。
売上が減少した原因を分析した上で、適切な対策を行えば、高い確率で売上を回復させることができます。
7つの対策のうち、まずは一番最適な対策を行い、1日でも早く売上が回復するように進めていきましょう。
まとめ
売上が減少する主な原因は、以下の11個です。
「売上が減少する主な5つの外的要因」
- 流行の影響
- 周囲の環境の変化
- 同業他社の業績アップ
- 商品やサービスのイメージの悪化
- ホームページやSNSのアクセス数の減少
「売上が減少する主な6つの内的要因」
- 新規顧客が獲得できていない
- 既存顧客のリピート率がダウンしている
- 既存顧客が離脱している
- 客単価が低下している
- 商品やサービスの質が低下している
- 何も実施していない
まずは、あなたの会社の売上減少の原因がどれに当てはまるか確認してみてください。
その上で、フレームワークを使い、原因をさらに詳しく分析することが大切です。
売上低下の原因を発見するフレームワークは、以下の2つです。
- ロジックツリー
- PEST分析
詳しく分析することで、より最適な売上回復のための対策を行っていくことができます。
その上で、売上が減少したとき打てる対策は、以下の7つです。
- 分析する
- 資金がショートしないように経費を見直す
- 新規顧客の獲得(集客)を増やす
- 既存顧客の掘り出しやリピート率アップを図る
- 客単価を上げる
- 商品やサービスの質を高める
- 従業員のモチベーションを上げる
以上を実施することで、会社の売上を回復させていくことができます。
この記事を参考に、売上減少の原因を掴み、会社をV字回復させて、安定した会社経営を実現していってください。