経営者・起業家・リーダーのための仕事の秘訣
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2020.01.23 更新|2020.01.23 公開| 経営・リーダーシップ

経営者と従業員のコミュニケーションの6の失敗理由と7の改善方法

経営者と従業員のコミュニケーションの6の失敗理由と7の改善方法

「従業員とうまくコミュニケーションが取れない」

「従業員が言うことを聞いてくれない」

そのような悩みにお答えします。

経営者と従業員のコミュニケーションが円滑になればなるほど、言うことを聞かない人や愚痴ばかりで組織の輪を乱す人が減ります。

従業員のやる気が高まり、会社の経営状況も上向くでしょう。

逆に、経営者と従業員がうまくコミュニケーションをとれていないと、指示をしても思い通りの仕事をしてくれず、業績が悪化してしまうかもしれません。

組織の輪を乱す従業員がいた場合には、その人の暴走を止められず、組織崩壊が起こる可能性もあるでしょう。

そうならないためにも、経営者と従業員がうまくコミュニケーションをとっていくことが大切です。

そこでこの記事では、以下の2つのことをお伝えします。

  1. 経営者と従業員のコミュニケーションがうまくいかない理由6つ
  2. 経営者と従業員のコミュニケーションを円滑に行う7の方法

普段の従業員とのコミュニケーションを思い出しながら読み進めることで、あなたの会社に合った改善方法を見つけることができるはずです。

それではまずは、「1.経営者と従業員のコミュニケーションがうまくいかない理由6つ」からお伝えしていきます。

1.経営者と従業員のコミュニケーションがうまくいかない理由6つ

第1章では、「経営者と従業員のコミュニケーションがうまくいかない理由」として、以下の6つを紹介します。

  1. コミュニケーションをとる機会が少ない
  2. 立場や考え方の違いを理解していない
  3. 従業員の話を聞いていない
  4. 従業員から信頼されていない
  5. 従業員のやる気を高められていない
  6. 会社の理念や社長の想いと従業員のやりたいことの不一致

従業員とのコミュニケーションは、うまくいかなくなることを知らず知らずのうちにやってしまう、という場合も少なくありません。

知らないだけで、従業員とのコミュニケーションが悪化してしまうのは非常にもったいないです。

「何をしたらコミュニケーションがうまくいかなくなるか」を知ってさえいれば、ちょっとの注意でコミュニケーションの悪化は防ぐことができます。

なので、「経営者と従業員のコミュニケーションがうまくいかない理由」はきちんと押さえておくことが大切です。

あなたが「従業員とのコミュニケーションでやってしまっていることはないか?」を1つ1つチェックしながら読み進めてみてください。

それでは、1つずつ詳しくお伝えしていきます。

1-1.コミュニケーションをとる機会が少ない

経営者と従業員がコミュニケーションをとる機会が少なければ、うまくいかないのも当然です。

たとえば、経営者と従業員がオフィスですれ違ったときはいつも素通りで、会議や業務上の指示があるときにしか会話をしない状態であれば、明らかにコミュニケーション不足です。

従業員は1人1人育ってきた環境や考えていることが違うので、みんなに同じように指示を出しても、同じようには理解出来ないと考えた方がよいでしょう。

ですが、相手の人となりがわからなければ、どのように指示をしたら伝わるか、どのような言葉を掛けたらやる気が上がるのか、もわかりません。

コミュニケーション不足は、経営者と従業員の間に大きな壁を作ってしまいます。

1-2.立場や考え方の違いを忘れてしまっている

経営者と従業員の立場や考え方の違いを忘れてしまうと、従業員とのコミュニケーションがうまくいかなくなります。

お金の考え方だけでも、経営者は「お金は仕事をして生み出すもの」と考え、従業員は「お金は会社に行けばもらえるもの」と考える傾向にあります。

にもかかわらず、「経営者と同じように考え、仕事に責任を持て!」と言ってしまうと、「あの人もわかってないなぁ」などと従業員に思われてしまいます。

こうなると、従業員のやる気を引き出すのは非常に難しくなります。

多くの場合、経営者と従業員では、立場や考え方が違うのはわかっていることだと思います。

しかし、仕事に真剣になるがゆえに、従業員にも同じ能力を求めてしまうこともあるのではないでしょうか。

それには注意が必要です。

1-3.従業員の話を聞いていない

従業員の話を聞かないことも、コミュニケーションがうまくいかなくなる原因です。

相手の話を聞かなければ、コミュニケーションは成立しません。

経営者が一方的に従業員に話をするだけでは、コミュニケーションではなく、ただの命令になってしまいます。

1-4.従業員から信頼されていない

従業員から信頼されていないと、コミュニケーションがうまく取れなくなります。

信頼がなければ、従業員は積極的に言うことを聞こうと思ってくれませんし、自分のことを話そうとも思ってくれません。

立場上、経営者から言われたことは「ハイ、ハイ」と聞くかもしれませんが、それだけのコミュニケーションになってしまいます。

一歩踏み込んだコミュニケーションをとるためにも、従業員との信頼関係は重要です。

1-5.従業員のやる気を高められていない

従業員のやる気を高められていないと、うまくコミュニケーションをとるのが難しくなります。

どんなに話しかけても、「はぁ…」「はぃ…」と無気力な返事しかしてくれない従業員だと、会話が続かず、うまくコミュニケーションをとることができません。

そういった場合は、まずは従業員のやる気を高めることが必要になります。

1-6.会社の理念や社長の想いと従業員のやりたいことの不一致

会社の理念や社長の想いと従業員のやりたいことが不一致だと、コミュニケーションがうまく取れなくなる原因になることがあります。

たとえば、会社の理念が「社会に貢献すること」、従業員のやりたいことが「給料をもらうこと」だったとしましょう。

この場合、経営者がいくら「社会に貢献する仕事をしていこう!」と言ったところで、従業員からは「社会に貢献するよりも、まずはちゃんと自分の給料をもらいたい」と思われてしまいます。

すると、経営者が社会に貢献するという意味で「いい仕事をしよう!」と従業員に言ったとしても、従業員は「自分の査定がアップして給料が上がるように仕事をすればいいんだな」と理解してしまう可能性があります。

こうして、言いたいことが伝わらず、コミュニケーションがうまくとれなくなります。

以上が「経営者と従業員のコミュニケーションがうまくいかない理由6つ」でした。

従業員とコミュニケーションがうまくとれないという場合は、まずはこの6のことをやってしまっていないか確認しましょう。

その上で、もしやってしまっている場合は、これから改善していくことが大切です。

続いては、経営者と従業員のコミュニケーションを改善するために「経営者と従業員のコミュニケーションを円滑に行う7の方法」をお伝えしていきます。

第2章を読んでいただくと、「従業員が言うことを聞いてくれるようになる」「従業員のやる気を引き出せる」といったコミュニケーションをとることができるようになります。

2.経営者と従業員のコミュニケーションを円滑に行う7の方法

第2章では「経営者と従業員のコミュニケーションを円滑に行う方法」として、以下の7個を紹介します。

  1. 従業員とコミュニケーションをとる回数を増やす
  2. 従業員に興味・関心を持つ
  3. 自分の考えや価値観を従業員に押し付けない
  4. 経営者と従業員の立場の違いを理解する
  5. 従業員から信頼される立ち振る舞いをする
  6. 会社の理念と従業員のやりたいことの共通点を探す
  7. 従業員を労う、評価する

1つずつ詳しくお伝えしていきます。

2-1.従業員とコミュニケーションをとる回数を増やす

経営者と従業員のコミュニケーションを円滑に行うには、従業員とコミュニケーションをとる回数を増やすことが大切です。

単純にコミュニケーションをとる回数を増やすだけでも、相手からの好感度が上がることがわかっています(単純接触効果)。

相手から好かれていれば、コミュニケーションも取りやすくなります。

また、相手の名前を呼ぶことでも、好感度を上げることができます。実際、コミュニケーションに関する有名な本にデール・カーネギー著「人を動かす」がありますが、以下のように名前を呼ぶことが人に好かれる原則の一つであることが書かれています。

人に好かれる原則③|名前は、当人にとって、最も快い、最も大切な響きを持つ言葉であることを忘れない

なので、コミュニケーションをとるときには、相手の名前を言うようにすると、なお効果が高まるはずです。

忙しくてどうしてもコミュニケーションの回数を増やせない場合は、オフィスで従業員とすれ違ったときに「○○さん、おはよう」などと、名前を読んで挨拶するだけでも、コミュニケーションの質を高めることができます。

2-2.従業員に興味・関心を持つ

経営者と従業員のコミュニケーションを円滑にするには、従業員に興味・関心を持つことも重要です。

コミュニケーションは、相手のことを知ることから始まります。

  • 従業員の名前
  • 1人1人の特技や長所
  • 過去にやってきた仕事やその成果
  • 相手の好きなことや好きな食べ物
  • 家族構成

など、従業員のことを知っていればいるほど、会話のネタに困ることが減り、積極的にコミュニケーションをとれるようになります。

従業員も「経営者が自分のことを見てくれている」と思えたら、やる気が上がります。

なので、従業員に対して興味・関心をもって、1人1人のことを知っていくことが大切です。

ただし、中には「プライベートのことは詮索しないでほしい」と思っている人がいる場合もあるので、プライベートのことを聞くときには、いきなり踏み込みすぎないように注意しましょう。

2-3.自分の考えや価値観を従業員に押し付けない

自分の考えや価値観を従業員に押し付けるのをやめるだけでも、従業員とのコミュニケーションが円滑になります。

コミュニケーションは、命令や押し付けなどの一方通行では成り立ちません。

会話をする、意見を言い合うなどの、双方向になって初めてコミュニケーションが成立します。

2-4.経営者と従業員の立場の違いを理解する

経営者と従業員のコミュニケーションは、経営者と従業員の立場の違いを理解することで、円滑に行うことができます。

多くの場合、経営者は従業員と立場が違うことはわかっていると思います。

ですが、大事なことは、「コミュニケーションをとっているときにも、立場の違いを意識できているか」ということです。

なので、コミュニケーションをとるときには常に立場の違いを意識できるよう、改めて確認しておくのがオススメです。

経営者と従業員の違いは、別記事『経営者と従業員の関係が悪化する10の理由と関係改善する10の方法』の第2章でお伝えしています。こちらを参考に見てみてください。

2-5.従業員から信頼される立ち振る舞いをする

経営者と従業員のコミュニケーションを円滑にするには、経営者が従業員から信頼されていることも重要です。

従業員から信頼される一番の方法は、経営者自らが本気で仕事に打ち込み、従業員を幸せにする覚悟を持ち、楽しそうに働く、そんな背中を見せることです。

そうして、従業員から「あなたのようになりたい」「あなたを助けたい」と思ってもらえたら、あなたの言うことはどんどん聞いてくれるようになります。

2-6.会社の理念と従業員のやりたいことの共通点を探す

会社の理念と従業員のやりたいことの共通点を探すことでも、従業員とのコミュニケーションが円滑にとれるようになります。

学生時代の部活の仲間や同じセミナーを受けている勉強仲間など、目指している目標が近いとコミュニケーションがとりやすいという経験をしたことがある人は多いと思います

これは、会社でも同じです。

会社が「世の中にイノベーションを起こす」という理念を持っていたとしても、従業員が「イノベーションとかどうでもいいから、ちゃんと給料もらえて家族を養っていきたい」と思っていたら、会社の言うことはなかなか聞いてくれません。

ですが、経営者としては「世の中にイノベーションを起こすことで、会社のサービスや商品がたくさん売り、従業員に長期的に安定して給料を払っていきたい」という想いもあるはずです。

ということは、会社にも従業員にも「給料を生み出したい」という共通点があるということです。

その共通点を従業員に伝えることで、従業員は「会社がイノベーションを起こせるような仕事を自分がしていけば、ちゃんと給料もらえて家族を養っていける」と思ってくれます。

すると、経営者も従業員も「世の中にイノベーションを起こす」という共通の目標に向かって進むことができるので、コミュニケーションも円滑に行うことができるようになります。

会社の理念や重要員のやりたいこととの共通点は、何度も伝えていくことが大切です。

何度も伝えることで従業員に浸透していきますし、伝えるたびに従業員のやる気を高めることもできます。

2-7.従業員を労う、評価する

従業員を労ったり、評価したりすることで、経営者と従業員のコミュニケーションを円滑になります。

誰もが自分のやった仕事に対して「頑張ってくれてありがとう」「よくやってくれて本当に助かったよ」と声を掛けてもらえたら嬉しいものです。

次の仕事に取り組むやる気も高まるし、「あなたのために頑張ろう!」とも思ってくれるかもしれません。

何度も従業員を労い、評価することで、信頼が積み重なり、仕事のことであなたの意見を求めてくれるようにもなります。

そうなったら、コミュニケーション不足や従業員のやる気の低さに悩まされることはなくなっているはずです。

以上が「経営者と従業員のコミュニケーションを円滑に行う7の方法」でした。

7つの方法の1つ1つが、それぞれかなり強力な方法です。

どれか1つを実践するだけでも、従業員とのコミュニケーションが大きく変わるはずです。

まずはどれか1つを選んで、実践してみてください。

3.まとめ

経営者と従業員のコミュニケーションがうまくいかない理由は、以下の6つです。

  1. コミュニケーションをとる機会が少ない
  2. 立場や考え方の違いを理解していない
  3. 従業員の話を聞いていない
  4. 従業員から信頼されていない
  5. 従業員のやる気を高められていない
  6. 会社の理念や社長の想いと従業員のやりたいことの不一致

この6つのことをやってしまっている場合は、今すぐにやめましょう。これらをやめるだけで、従業員とのコミュニケーションが今以上に悪化することを防げます。

その上で、経営者と従業員のコミュニケーションを円滑に行う方法は、以下の7つです

  1. 従業員とコミュニケーションをとる回数を増やす
  2. 従業員に興味・関心を持つ
  3. 自分の考えや価値観を従業員に押し付けない
  4. 経営者と従業員の立場の違いを理解する
  5. 従業員から信頼される立ち振る舞いをする
  6. 会社の理念と従業員のやりたいことの共通点を探す
  7. 従業員を労う、評価する

経営者と従業員のコミュニケーションが円滑になれば、従業員のやる気が上がり、あなたの言うことを聞いてくれ、会社の仕事がスムーズに進んでいきます。

業績もより上がり、社会への貢献度もアップするでしょう。

そのためにも、この7つの方法を使って、従業員とのコミュニケーションを改善し、風通しの良い会社を作っていってください。

小田真嘉(おだ まさよし)

監修・小田真嘉(おだまさよし)

経営者とリーダーの相談役(歴18年目)。創業450年の老舗企業から革新的ベンチャーまで4000社以上をコンサル。人生のどん底を何度も経験し、あらゆる成功の闇に直面したことから、生きる意味と働く目的を探究。1万人との対話と師の教えから仕事・会社・家庭の「成長4段階説(4つのステージ)」を体系化。複数の企業顧問も務めながら、仕事と人生のステージを上げるための経営コンサルティングとビジネス講座を行う。働き方と生き方の次元を一気にあげる会員制ビジネスコミュニティ「NEXT DIMENSION」を主催。