経営者の勉強法|会社をつぶさずに繁栄させるためのステップを紹介
会社が繁栄するために、経営者は勉強することが求められます。なぜなら繁栄のためには顧客に対して、新しい価値を生み出し続けることが重要であり、そのためには勉強が欠かせないからです。
しかし、経営者がどのような勉強をすればいいのか、なかなか分からないものです。学校で教わるものではないですし、教えてくれる人も周りにほとんどいないのではないでしょうか。
経営者が勉強をやめてしまったら、会社は衰退すると言われています。会社をつぶさないためにも、経営者にとって必要な勉強はしておきたいものです。
そこでこの記事では経営者の勉強法について、1000社以上の経営者をコンサルしてきた小田真嘉さんに伺った内容をお伝えします。
経営者がどんな勉強をしたらいいのか、そしてどのように仕事に活かしていけばいいのかをお伝えします。それだけでなくて、社員やスタッフにも勉強する習慣をつけて、会社をより発展させていくための方法についてもお伝えします。
もし、あなたが会社を繁栄させるためのヒントを必要としているのなら、ぜひ、この記事をお読みください。
目次
1.経営者に勉強が必要な理由|会社をつぶさないため
そもそも経営者になぜ勉強が必要かというと、一言で言えば会社をつぶさないためです。
経営者の仕事は、新しい価値を創造するクリエイティブなものです。
クリエイティブなアイディアを生み出すためには、材料やネタのストックが必要です。そしてそのストックを増やし、活かすために勉強は欠かせません。
経営者が勉強を通じて知るべきことは、以下の3つです。
- 会社の全体像を知る
- 会社内外の流れを知る
- 会社がやるべきことを知る
経営者が勉強しないと、会社は世の中の変化の流れから取り残されます。
勉強不足だと、世間や業界、また自身の会社の全体像を把握できません。その結果、突然の問題勃発に対する対応が後手後手に回ります。結果として、やるべきことをやらず(もしくは出来ず)に余計なことをしてしまい、時間もお金も無駄に過ごしてしまうことがあります。
小田さんは不景気で業界が衰退して会社が倒産した、というたくさんのケースを見てきました。その際に、多くの経営者が勉強が不足しているように感じたそうです。
経営者に必要な勉強は、学校のテストのように暗記するものではありません。生きた学びのある、血の通った知性と教養を身に着けていくことが大事です。
経営者が勉強をすることは、会社が繁栄することに繋がるし、新しい価値を生み出して世の中に貢献していくことにつながります。なので経営者の仕事の一つは『正しく勉強すること』であり、一生勉強していくのが経営者としてのあるべき姿勢です。
それでは、経営者がどんな勉強法がいいのかをお伝えします。
2.経営者の勉強法
経営者の勉強法は、以下の3つです。
- 24時間あらゆるものから学ぶ
- 問いを持つ
- 共通点、相違点、因果関係を見つける
まずお伝えしておきたいのが、勉強の方法を間違えると、自分が学んだ知識を周囲にひけらかして自慢したり、もしくは知識を集めること自体が目的になったりしてしまう場合があるということです。
そうなると、会社の繁栄には活かされず、時間やお金ばかりがかかってしまいます。なので正しい勉強法で行うことが大事です。
「勉強をする」というのは、情報(=インフォメーション)を得ることです。
情報とは点のようなものです。しかし、この点をたくさん集めることが重要なのではありません。情報(=インフォメーション)から知性(=インテリジェンス)に変えていくことが重要です。
抽象的ですが、勉強して点を得て、そして点と点をつないで線にしていくこと。その線をつないで面にしていく。さらに面をつないで球面という立体構造にして、球面を磨いていくのが知性です。
知性とは、物事を知り、考えたり判断したりする能力のことです。
経営者には、単に知識などの知っている情報量を増やすのではなく、知性に変えていく勉強法が必要です。
知性に変えていくことで、問題の本質に気が付いたり、解決のアイディアがひらめいたりして、会社にとって必要なことがわかる様になります。
それでは、それぞれについて解説していきます。
2-1.24時間あらゆるものから学ぶ
知性を磨くために、勉強している内容を限定しないことと、「今から勉強する」と時間を限定しないことが大事です。
すなわち、24時間365日、見るもの触れるもの全てから学ぶということです。
例えば、以下のようなものも学びに変えます。
- 子どもとの会話や仕草
- 旅行先での気づき
- ふと見たテレビ番組
- YouTube動画
- ネット検索して飛び込んできたもの
- 奧さんなど、家族とのとの会話
- 近所の人との会合
例えば、自社製品の改善アイディアに行き詰まった時に、偶然つけたテレビ番組にヒントが隠されていたり、家族との話し合いの中で、会社の問題の本質に気づくこともあります。
これらはむやみやたらに何でも手当たり次第に勉強するのではなく、生活していて自然と見聞きしたものから学びを得ようとする、ということです。
一見仕事とは関係のないところも含めて24時間365日360度、全方向から、あらゆるものは全て自分の学びなんだ、という風に捉えるようにします。
2-2.問いを持つ
二つ目は、問いを持つことです。
例えば以下のように、疑問を常に持ち続けるようにします。
- この業務の課題をどう解決したらいいのだろうか?
- 会社の課題は何か?
- 今やるべきことは何か?
- 深めたいことは何か?
- 改善したいこと、乗り越えたいことは何か?
- 会社を改善し、よりよくしていくためには何が必要だろうか?
と、問いを持ち続けるようにします。
その上で、下記の3つの視点で見ることが大事です。
2-3.共通点、相違点、因果関係を見つける
得た情報を知性に変えていくために、共通点と相違点、因果関係を知るという3つのアプローチ方法があります。
2-3-1.共通点を見つける
得た情報に対して、共通点を見つけることをします。
例えば、以下のようなものです。
- 自社が抱えている課題を乗り越えたA社とB社の社長の共通点は何?
- 業界で結果の出る人の共通点は?
- 書籍やセミナーでも、うまくいっている人の共通点は?
これは、異業種異分野であっても問題ありません(例えば、映画で活躍しているヒーローと、業界で活躍しているリーダーの共通点は何だろうか、など)
うまく行っている人や事例の共通点を線でつなぐようなイメージです。
2-3-2.相違点を見つける
または、以下のような相違点を見つける方法もあります。
- うまくいく人と行かない人の違いは?
- 利益が出ている会社と出ていない会社の違いは?
- お客様から支持されている会社、支持されていない会社の違いは?
- 社員から応援される社長、応援されない社長の違いは?
- 分野は違えど、最後までやりきる人と、途中で諦める人の違いは?
など、違い(=相違点)を探すことで、知性を磨く事ができます。
2-3-3.因果関係を紐解く
因果関係を紐解くとは、例えば以下のような事です。
- この品質問題はそもそもとして、なぜ起こったのだろうか
- 売上が下がってきた原因はなんだろうか
- このセミナー講師が伝えている結論は、どうしてそうなったのだろうか
など、なぜ起こったのか?そもそもの原因や因果関係、つまり原因と結果のつながりを見抜くことを意識するということです。
共通点や相違点、因果関係を見つけるのは慣れていないと難しいかもしれません。しかし、これを続けることで、知性が磨かれていき、パッとつながりに気づくようになっていきます。
経営者は、この3つの視点(共通点、相違点、因果関係)から物事を学ぶと、会社の全体像や現場の状況、商品やサービスの流れがよりより見えるようになります。そして自分たちが今、何をやるべきかがわかってきます。
ここで、実際に上記の勉強法を通じて、業界の常識を超えたサービスを作った、ある経営者の事例をお伝えします。
3.異業種の勉強から成功した経営者の例
今までの業界の枠を超えて活躍されている、寝具店、わたしの眠りいなべさん(以下、いなべさん)の話です。
寝具業界の布団は、買い換えるサイクルが5年と言われています(が、実際には7年、8年という場合もあります)。
多くの町の布団屋さんでは、ボロボロになって使い物にならなくなってから布団を替えたりします。しかし、その間の5年間に快適に寝続けられたのかというと、必ずしもそうではありません。
例えばカビやダニ、汚れなど。もしくはヘタリがあって、知らない間に身体が休まるいい睡眠環境から離れてしまっているのです。
布団をいい状態に保とうとするなら、定期的に点検する必要があります。
そこで、いなべさんは、季節の変わり目で点検メンテナンスをするサービスを始めました。
例えば襟元など、布団の状態を確認し羽毛を足したり、汚れを綺麗にして、ふわふわな状態に戻してからお客様にお渡しするサービスを開始しました。
そうやって、布団の点検メンテナンスをしてお客様に喜ばれています。
この発想は、車業界という異業種から出てきたアイディアです。自動車には、車検という定期的に点検や整備をする仕組みがあります。
ドライバーならば、安全に乗るために、定期的に点検や整備を行うのは当たり前という認識です。しかし、寝具業界において、定期的にメンテナンスする仕組みはありませんでした。
そういう異業種では当たり前のことでも、自分の業界では常識ではなく、ルール化や仕組み化されていないことは、実際にあり得ることです。
お客様のことを考えて、異業種でやっていることを、自分たちも取り入れたらどうなるだろうか、と異業種の事例から学ぶことも大事だという事例でした。
いなべさんがこのような発想ができるのは、先ほど述べた経営者の勉強法を実践し、知性を身につけていたからです。
それではここから、知性を磨いていくために、具体的にどの分野を学べばいいのかについてお伝えします。
24時間あらゆるものを学ぶことに加えて実践してもらえたらと思います。
4.経営者が勉強すべき3つのもの
経営者が勉強すべきものは、以下の3つです。
- 歴史や古典
- 最新の流行
- 異分野の事例
一つずつお伝えします。
4-1.歴史や古典から勉強する
一つ目は、古きものを学ぶことです。例えば日本史や世界史、またはローマ帝国の繁栄と衰退だったり、中国の動乱期だったり、もしくは第二次世界大戦の失敗だったり、そいういう歴史から学ぶということです。
また、偉人賢人たちの伝記、人生のストーリー、もしくは古典から学ぶのもいいでしょう。四書五経のような2500年以上前から古来よりずっと読み継がれてきた思想哲学とか普遍的なものなどです。
そういう国や人、教え、のように古き良きものから学ぶ、そして触れる、というのが1つ目です。
4-2.最新の流行から勉強する
次は、古典とは反対で、最新の新しい流れから学びます。
新しい流れとは、業界のことや技術的なこと、もしくは10代20代の若者の興味関心やライフスタイルなど、彼らが何を感じ、何を考えているのかなど、最新の流行やトレンドのことです。
歴史や古典を振り返りつつ最新の流行を追いかけるように、古きものと新しきものの両方を捉える事が大事です。
4-3.異分野など、あらゆる所から勉強する
そして3つ目は、異分野に関する勉強です。
異分野の勉強とは、自分が関係している業種業界のことではなく、他業種のブームや、動向を勉強することです。
- リーディングカンパニーは何をしているのか?
- 起きたイノベーションはどんなことか?
など、書籍の他にも、音声やセミナー、講座に通うのもいいでしょう。
さらには、最近話題になった映画や漫画、TV番組などの日常で目にすることから学ぶことも大事です。自分の仕事とは一見無関係の分野でも構いません。
先ほどの寝具店の事例ように、異業種や異分野から会社経営のヒントをもらえることは多いでのす。
24時間365日、360度本当にありとあらゆるところから、学ぶような気持ちで過ごすのが大事です。
5.経営者に最上の勉強法|尊敬できる人から学ぶ
そして経営者に最上の勉強法をお伝えします。
尊敬できる人、「この人、本当にすごいな、しびれるな」と思える人に直接会いにいき、できれば一緒に食事をすることです。
さらに理想的なのは、一緒に仕事をする仲間になることです。尊敬できて目指すべき人と同じ空気を吸うことが、1番の学びになります。
なぜなら、学びたい人の普段の判断基準、価値基準などの感覚を日常を通して学ぶ事ができるからです。
◯◯という状況なら△△する、という単に状況に対応した行動ではなく、皮膚感覚での判断基準を身につけることで、不測の事態においても判断を間違えることが少なくなります。
なので、尊敬できて目指したい人と一緒に働き、一緒に過ごして同じ空気を吸うことが最上の勉強法になります。
次に、学んだ勉強を生かす方法についてお伝えします。
6.経営者の勉強を生かす7ステップ
勉強したこと、学んだことの生かす方法には7つのステップがあります。
① 目的を明確にする
② 学ぶ
③ 気づく、閃く
④ 行動プランを立てる
⑤ 実践する
⑥ 疑問が出て、課題が明確化する
⑦ ①に戻る
最初のステップは、【①目的を明確にする】ことです。目的を明確にするには、問いを深めることが必要です。
自分にとって今、何が必要なのか、何に困っているのか、どんなヒントが欲しいのかという目的を必ずはっきりさせて、そこから、【②学ぶ】ようにします。
学ぶというのは勉強や読み書き、もしくは教えてもらったり、触れたりすることもあります。
学んだら学びっぱなしではなくて、そこからの気づきや閃き、もしくは「これをしたい」という湧き出る想いや感情が出てくるので、これを書き留めることが重要です【③気づく、閃く】。
その上で、具体的にやることや辞めること、改善するところなど、具体的な【④行動プランを立て】ます。
プランを【⑤実践して】みた上で、結果どうだったのか、という【⑥疑問が出てきて課題が明確に】なります。
そしてまた、目的をはっきりさせて学ぶ【⑦、①に戻り】ます。
この順番でサイクルをぐるぐると回して学びを深めることが、会社を繁栄させるの勉強方法になります。
しかし、経営者の勉強は、それだけすればいいのではありません。経営者は自然と人と関わったりするものです。
例えば社員やスタッフが、今まで見えなかったものが見えるようになり、できなかったことができるようになるために、どのように学び、成長していったらいいのか、会社全体を考える必要があります。
たとえ勉強しなさい、と本を渡しても読まない場合が多いです。社員やスタッフが自ら進んで勉強するには、どのようにしたらいいのでしょうか。
小田さんが実際にいくつも試してきて、もっとも効果のあった、社員が進んで勉強する3つのステップをお伝えします。
7.社員が進んで勉強する3つのステップ
社員が進んで勉強する3つのステップは以下の通りです。
第1ステップは、会社のトップの経営者が学び続け、その姿勢や変化を社員に感じてもらう、ということです。
例えば、家庭内において、勉強していない親が「勉強しろ」と伝えて子どもが反発することがあります。
会社も同じで、何よりも社長自身が、誰よりも学ぶ姿を社員やスタッフに見せ続けることが大事です。
第2ステップは、社員やスタッフから学ばせてもらうかのように、彼らがどんなことに興味や関心を持っているのかを知るようにします。
そうして彼らが興味関心を持つ分野、もしくはこれから持ちそうな分野において、自分から伝えられること、教えられること、紹介できる人やモノを考えます。
その上で第3ステップ、みんなで一緒に学ぶ機会を作るようにします。
セミナーや講座に社員やスタッフと一緒に通うことかもしれないし、今必要なテーマの映画を一緒に観ることかもしれません。
もしくは、読書会や社内研修を開くことかもしれません。一方的に勉強を求めるのではなく、機会を作り、一緒に学ぼうとすることが大事です。
何より大切なのは、社員やスタッフに学ぶ楽しさや自分が変わる喜びを味わってもらうこと、そして、経営者自身も共に味わうことです。
そうすることによって、社員やスタッフに学ぶ習慣や風潮、文化が作られていきます。
まとめ
経営者が勉強することによって、どんどん成長する組織や会社になっていきます。それが世の中の貢献につながり、そうして会社が繁栄していくことになります。
経営者が勉強をやめたときに、会社は衰退していきます。逆に繁栄している会社の経営者は、常に勉強を続けています。
よって会社内で一番勉強する必要があるのは経営者ですし、一生学び続ける立場です。
また、勉強すること自体が喜びであり、楽しさに変えていくのも経営者の資質の一つでもあります。
なのでもし、経営者にとっての勉強法が分からずにいるのであれば、ぜひ、本記事でお伝えした勉強法をお試しください。