パクリ経営理念のメリット2つとデメリット4つ|パクリはアリなの?
「経営理念のパクリはアリなのかな?」
「共感できる他社の経営理念を自社でも採用したい!でも、いいのかな?」
そのような疑問にお答えします。
経営理念は、会社の目指す方向性を定め、従業員と目標を共有し、一体感を持って事業を進めていくために必要不可欠なものです。
会社は経営理念に沿って経営されていきますし、新しい従業員が入ってくるたびに経営理念を伝えていくことになります。
なので、経営理念が会社の雰囲気や文化を決める、と言っても過言ではありません。
もし経営理念を決めずに会社を経営したら、方向性が定まらず、従業員の気持ちはバラバラで、仕事のクオリティが下がり、売上は伸びにくくなるでしょう。
しかし、経営理念を作るには、時間や労力が非常に掛かります。
経営理念は重要なものだとは理解しつつも、「手っ取り早くパクリで作ってしまいたい」という気持ちになるのもわかります。中には、「経営理念を考えてみたけど、よい内容が思いつかなくてパクるしかなくなった」という場合もあるかもしれません。
そこでこの記事では、以下の4つの内容をお伝えします。
- パクリの経営理念はアリなのか?ナシなのか?
- パクリの経営理念のメリット
- パクリの経営理念のデメリット
- パクらずに手早く経営理念を作る方法
第1章で早速、「パクリの経営理念はアリなのか?ナシなのか?」結論からお伝えしていきます。
ぜひこのまま読み進めてみてください。
目次
1.パクリの経営理念はアリなのか?ナシなのか?
経営理念のパクリは、基本的にはやらない方が良いです。
なぜならば、パクリの経営理念を掲げた場合、会社の仕組みや従業員に理念が浸透しにくくなる可能性があるからです。
たとえば、他社の「従業員も顧客も豊かにする」という経営理念をパクったとしましょう。
しかし、経営者本人は「会社の利益を最大化したい」と思っていて、従業員に低賃金かつサービス残業が当たり前の環境で働かせていたとします。
これでは、経営理念で掲げていることと、社内の仕組みに矛盾が起きてしまいます。
すると従業員は、「ウチの会社の経営理念は掲げてあるだけだな」と感じ、経営理念の実現を目指そうとは思わなくなります。
このように、経営理念と経営者の想いにズレがあると、経営理念がただ掲げられただけの飾り物となってしまい、経営において機能しなくなります。
経営理念は、会社や従業員に浸透させていくことで、従業員や顧客の満足度を高めることができます(参照:大阪市立大学「経営理念の浸透が顧客と従業員の満足へ及ぼす効果」)。
そのためには、経営理念と経営者の想いを一致させることが重要となります。
なので、基本的には、経営理念は経営者本人の想いを言葉にしたものを独自で作成すべきです(経営理念の作り方は、第4章で詳しくお伝えします)。
ただし、パクリ元の経営理念に100%共感していて、本気でパクリの経営理念で会社を経営していきたいと思える場合は、あまり推奨はしませんが、パクリの経営理念を採用してもよいかもしれません。
そこで、第2章と第3章では、パクリの経営理念のメリットとデメリットを見ていきます。
現実的なメリットとデメリットを挙げていくので、もしパクりたい経営理念がある場合は、次の章を見て、パクリの経営理念を採用するかどうか判断してみてください。
ではまずは、パクリの経営理念のメリットからお伝えします。
2.パクリの経営理念2つのメリット
他社の経営理念をパクる場合のメリットとして、以下の2つを紹介します。
- 手っ取り早くすぐに経営理念が完成する
- 尊敬している会社に近い会社を作ることができる
1つずつ詳しくお伝えしていきます。
2-1.手っ取り早くすぐに経営理念が完成する
パクリの経営理念のメリットの1つは、手っ取り早くすぐに経営理念が完成することです。
通常、経営理念をイチから作るには、「会社で何をするのか?」「なぜ、その事業をするのか?」「どういうふうにやっていくのか?」といった自社の在り方や経営者自身の想いを言葉にしていく必要があります。
もちろん、ただ言葉にするだけでなく、従業員や顧客に伝わりやすくすることも考えながらまとめなければいけません。
これは非常に時間がかかります。
しかし、他社の経営理念をパクる場合は、経営理念を作るプロセスがなくなるので、大幅に時間を節約できます。
2-2.尊敬している会社に近い会社を作ることができる
尊敬している会社に近い会社を作ることができることも、経営理念をパクるメリットです。
会社は、経営理念に基づいて社内のルールを決めたり、展開していく事業を決めたりしていきます。
そのため、経営理念をパクった場合は、あなたの会社の企業文化や商品やサービスの方向性は、パクリ元の会社に近いものになっていきます。
もちろん、業界が違えば、具体的に作る商品やサービスは違うものになるでしょう。
しかし、顧客のライフスタイルを変える商品を作るのか、徹底的に機能性を追求した商品を作るのかといった方向性は、近いものになります。当然それは、社内のルールや文化に対しても同じです。
なので、どうしても尊敬している会社に近い会社を作りたい場合は、経営理念をパクることも1つの戦略と言えます。
以上が、「パクリの経営理念2つのメリット」でした。
このように経営理念をパクることにはメリットもありますが、同時にデメリットも存在します。
続いて第3章では、「パクリの経営理念4つのデメリット」をお伝えします。
経営理念をパクる場合、デメリットも全て許容できるかをチェックしてみてください。
3.パクリの経営理念4つのデメリット
パクリの経営理念のデメリットとして、以下の4つを紹介します。
- 独自性がなくなる
- 社員に共感してもらいにくい
- 取引先や銀行の人に「考えの浅い会社だ」と思われる可能性がある
- 融資の審査が通りにくくなる可能性がある
1つずつ詳しくお伝えしていきます。
3-1.独自性がなくなる
パクリの経営理念のデメリットの1つとして、独自性がなくなるということが挙げられます。
パクリということは、100%のマネですから、そこに独自性はありません。
仮に事業が成功して会社が大きくなったとしても、その会社に「あなたらしさ」はほとんどないでしょう。
3-2.従業員に共感してもらいにくい
従業員に共感してもらいにくいということも、パクリの経営理念のデメリットの1つです。
あなたがある会社の経営理念にとても共感し、その会社の経営者をすごく尊敬していたとしても、従業員はそうではありません。従業員は、その会社のことも経営者のことも知らないことが多いはずです。
そのため、いくら従業員に「この経営理念はすごいんだ!」と伝えても、あなたと同じように共感してくれる可能性は非常に低いと考えられます。
そうなると、従業員のモチベーションが上がらず、仕事のクオリティにも悪影響を及ぼします。従業員に経営理念に共感してもらうには、「なぜあなたがこの経営理念を掲げたのか?」を伝えることが大切です。
理想はオリジナルの経営理念を作ることですが、パクリの経営理念を掲げたとしても、その経営理念を選んだ理由をしっかりと語ることができれば、まだ従業員に共感してもらいやすくはなります。
3-3.取引先や銀行の人に「考えの浅い会社だ」と思われる可能性がある
取引先や銀行の人に「考えの浅い会社だ」と思われる可能性があることも、パクリの経営理念のデメリットの1つです。
取引先の経営者であれば、経営の勉強をする際に有名な会社の経営理念を勉強していることもあるでしょう。銀行の人であれば、融資の審査などで、たくさんの会社の経営理念を見てきているはずです。
なので、経営理念をパクった場合、取引先の経営者や銀行の人に「この経営理念は○○社のパクリだ」と気づかれる可能性があります。
「経営理念がパクリだ」と気づいた取引先の経営者や銀行の人は、あなたの会社に対してどう思うでしょうか?
少なくとも「この経営理念をパクるなんてすばらしい!」「きっと優秀な経営者に違いない!」などとは思わないはずです。
おそらく、少しネガティブな感じで「経営者は考えが浅い人なのかな?」「本当にパクリでいいのかな?」と感じる人が多いのではないかと思います。
すると、あなたの経営者としての周りからの評価が低くなってしまう可能性があります。
3-4.融資の審査が通りにくくなる可能性がある
融資の審査が通りにくくなる可能性があるのも、パクリの経営理念のデメリットの1つです。
銀行の人は融資の審査などを通して、たくさんの会社の経営理念を見てきているので、パクリの経営理念をすぐに見抜いてしまうかもしれません。
すると、銀行の人から「この経営者は、本気じゃないのかな?」と思われ、銀行からの経営者の評価が低くなり、融資の審査が通りにくくなる可能性があります。
もちろん、パクリの経営理念だからと言って、融資の審査が100%通らないわけではありません。
ですが、本気で事業に取り組もうとして経営理念も本気で作った人とパクリで経営理念を決めた人がいて、どちらかにしか融資できないという状況だとしたら、前者に融資をするケースが多くなるのではないでしょうか。
なので、パクリの経営理念を採用する場合には、融資の審査が通りにくくなる可能性があることを認識しておいた方が良いでしょう。
以上が「パクリの経営理念4つのデメリット」でした。
これらのデメリットがあることを許容できる、もしくはデメリットを乗り越えることができると思うのであれば、パクリの経営理念を採用するのもアリだと思います。
ある程度のリスクはあるので、よく考えて慎重に判断していくことが大切です。
最後の第4章では、「パクリの経営理念はリスクが高いから、やっぱり独自で作りたい。でも、できるだけ時間をかけずに作りたい!」という場合に、できるだけ早く経営理念を作れる方法を紹介します。
4.パクらずに手早く経営理念を作る方法
経営理念作りは、以下の2つの手順で行います。
- 自社の在り方や経営者自身の想いを言葉にする
- 会社の目指す方向性として、言葉を短くまとめる
経営理念は、会社の目指す方向性として、「何をするのか」そして「なぜするのか」を短い言葉で表したものです。
その「何をするのか」「なぜするのか」を言葉にしていくには、経営者自身が持っている事業に対する想いを言語化していく必要があります。
想いを言語化する具体的な方法は、別記事『経営理念の作り方|重要な3つの要素を事例と共に解説』で詳しくお伝えしています。ぜひ併せてお読みください。
この会社の方向性を決めるステップは、非常に重要で省略することができません。
しかし、想いを言語化できてしまえば、経営理念として言葉を短くまとめるステップは、時短することができます。
言葉を短くまとめる際には、言い回しを他社の経営理念からパクることで、手早く経営理念を作ることができます。
たとえば、和菓子店の「餅匠しづく」では、経営理念として『お菓子で百薬の長を目指す』と掲げています。
この経営理念は、言い回しとして『○○で★★を目指す』という型があるので、○○や★★にあなたの想いに当てはまる言葉を入れると、すぐに経営理念として短くまとめることができます。
オリジナルの経営理念を作る際には、時短できる部分はできるだけ時短しつつ進めていくと、時間効率が良くなります。
素早く経営理念を作りたい場合は、上記を参考にしてみて下さい。
まとめ
経営理念のパクリは、基本的にはやらない方が良いです。
なぜならば、パクった経営理念と経営者の実際の想いにズレがあると、経営理念が掲げられただけの飾り物となってしまい、経営において機能しなくなるからです。
しかし、パクリ元の経営理念に100%共感していて、本気でパクリの経営理念で会社を経営していきたいと思える場合は、パクリの経営理念を採用してもよい場合があります。
ただし、経営理念をパクる際には、以下のようにメリットとデメリットがそれぞれ発生します。
パクリの経営理念を採用するメリットは以下の2つです。
- 手っ取り早くすぐに経営理念が完成する
- 尊敬している会社に近い会社を作ることができる
パクリの経営理念を採用するデメリットは以下の4つです。
- 独自性がなくなる
- 社員に共感してもらいにくい
- 取引先や銀行の人に「考えの浅い会社だ」と思われる可能性がある
- 融資の審査が通りにくくなる可能性がある
これらのメリットとデメリットを踏まえたうえで、パクリの経営理念を採用するかどうかを、慎重に判断していきましょう。