経営者に必要な資質14項目と資質がない場合の対策
「経営者としての資質が欠けているように感じる…」
「経営者に必要な資質を磨きたい」
そのような悩みや要望にお答えしていきます。
会社を繁栄させていくには、経営者の資質が非常に重要です。
資質がない人が会社を経営すれば、人をまとめられなかったり、数字が管理できなかったりして、経営が悪化する原因になる可能性があります。
売上が下がり、組織もバラバラになり、倒産するのも時間の問題になってしまうかもしれません。
しかし、経営者としての資質があれば、会社経営は成功しやすくなります。自信を持って会社の方針を決めていくことができたり、従業員のやる気を引き出したりできるでしょう。
だからこそ、経営者は自身を磨くべきです。
しかし、経営者が完璧な資質を持っていなければいけないわけではありません。誰にだって弱点はあります。その弱点を補う方法もあります。
そこでこの記事では、以下の2つのことをお伝えします。
- 経営者に必要な14の資質
- 経営者の資質に欠けている場合の対策
まずは、「経営者に必要な14の資質」を読んで、あなたが持っている資質や磨ける資質、欠けている資質を1つずつチェックしてみてください。
それでは、第1章に入っていきます。
目次
1.経営者に必要な資質
第1章では、「経営者に必要な資質」として、以下の14個を紹介します。
- 経営者の立ち位置がわかっている
- 経営理念を持っている
- 数字に強い
- 資金調達ができる
- コミュニケーション能力が高い
- 従業員のやる気を高める力がある
- 社員や顧客に対して誠実である
- 戦略的思考を持っている
- 決断する勇気がある
- 論理的思考を持っている
- 需要を作り出すことができる
- 優秀なリーダー層との人脈作りが上手い
- 素直で可愛げがある
- 健康状態に気を配れる
これらの資質をより多く持っている方が、会社への貢献度をより高めることができます。
今、あなたの会社において「この資質を持った人がいたら、こう助かるんじゃないか」と考えながら読み進めてみてください。
すると、最優先で身に付けるべき資質がわかるはずです。
それでは、1つずつ詳しくお伝えしていきます。
1-1.経営者の立ち位置がわかっている
経営者に必要な資質として、「経営者の立ち位置がわかっていること」があげられます。
経営者は、会社の創業者でも起業家でもありません。あくまで経営のプロです(一人会社や中小企業の場合は、創業者や社長と経営者が同じ人になる場合もあります)。
経営者の仕事は、会社の財政に関する意思決定を行い、会社の収益を伸ばしていくことです。
そのため、収益を伸ばすためのビジネスプランの修正や経営戦略を作る実務的な資質も求められます。
あわせて、「この会社の経営は、自分の手にかかっている」という責任感を強く持つことも大切です。
あなたの決定1つで、会社の命運が決まり、従業員の生活に影響を与えます。
経営者としての立ち位置がわかっていればいるほど、自然と責任感は大きくなるはずです。
1-2.経営理念を持っている
経営理念を持っていることも、経営者に必要な資質です。
経営理念とは、会社の目指す方向性として、「何をするのか」そして「なぜするのか」と一言、もしくは凝縮した言葉で表したものです。
会社の目指す方向性が決まっていれば、財政に関する重要な意思決定や経営戦略を作る場面でも、正しい決断をすることができます。
なぜならば、経営理念に合致した選択をすればいいからです。
たとえば、経営理念として「世の中の人の生活を豊かにする」ということを掲げていたとしましょう。
この場合、経営理念に沿った意思決定をすれば、世の中の人の生活を豊かにする会社経営ができるということです。
逆に経営理念がないと、会社の目指す方向がぼやけてしまい、正しい決断を下すことができなくなります。
たとえば、目先の収益を上げることばかりを考えてしまい、社会にマイナスな影響を与えてしまう、ということにもなりかねません。
なので、経営者として経営理念を持っていることは非常に重要です。
経営理念の作り方は、別記事『経営理念の作り方|重要な3つの要素を事例と共に解説』で詳しくお伝えしていますので、ぜひ併せてお読みください。
1-3.数字に強い
経営者に必要な資質として、「数字に強いこと」があげられます。
経営者の仕事は、会社の財政に関する意思決定を行い、会社の収益を伸ばしていくことでした。
つまり、常にお金のことを考える仕事とも言えます。
なので、損益計算書や貸借対照表などの数字がたくさん書かれた資料を見ても苦にならないことが重要です。
数字に強ければ、正しい経営判断をしやすくなります。
ただし、もし今、数字に弱かったり、損益計算書や貸借対照表などが読めなかったりしても、心配しなくて大丈夫です。
資質ではありませんが、会計情報や経済情報に関しては、これからセミナーや本を通して学ぶことで、知識として身に付けていくことができるからです。
1-4.資金調達ができる
資金調達ができることも、経営者に必要な資質の1つです。
会社で支払わなければならないお金の支払いが止まると、倒産することになってしまいます。
経済産業省のHPに掲載されている「中小企業白書」のデータから計算すると、日本の企業倒産率は、5年で58.2%、10年で73.9%です。
10年継続できる企業は24.1%しかない、ということです。
この10年継続する企業になるためにも、資金調達し、新しい事業を立ち上げ、収益の柱となる事業を作っていかなければいけません。
ですが、資金調達ができなければ、新しく事業を立ち上げる際の人件費や開発費を確保することができません。
資金調達をうまく行うには、しっかりとした事業計画を立てることが重要です。
事業計画で将来性のあるビジネスを立ち上げることをアピール出来れば、銀行や日本政策金融公庫から融資を受けやすくなります。
1-5.コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力が高いことも、経営者の資質の1つです。
経営者の仕事は、会社の財政に関する意思決定を行い、会社の収益を伸ばしていくことですが、実際に業務を行うのは従業員です。
あなたが会社の事業の方向性を決めたら、従業員に対して業務の指示をする必要があります。
このときに、従業員にやってほしい業務について理解してもらえなければ、あなたのやってほしい形で業務を実行してもらうことができません。
すると、いくらあなたが経営者として正しい決断をしていたとしても、業務が正しく遂行されず、会社の売上が下がっていく可能性があります。
なので、業務の指示が従業員に正しく伝えられるコミュニケーション能力は重要です。
なお、コミュニケーション能力を資質として持っていなかったとしても、後天的にコミュニケーション能力を高めることはできます。
コミュニケーション能力を高めるには、「相手が何を考えているか感じ取ること」が大切です。
たとえば、「相手は今、どんな状態で何を考えているのか?」「こういう指示を出したら相手はどう理解するだろうか?」と考えることで、相手が何を考えているか感じ取りやすくなります。
相手が何を考えているか感じ取れるようになると、「この人の場合は、こう言えば伝わる」ということがある程度わかるので、伝わりやすい業務の指示を出せるようになります。
1-6.従業員のやる気を高める力がある
従業員のやる気を高める力も、経営者に必要な資質です。
従業員に業務を遂行してもらうには、正しく指示を伝えるだけでなく、やる気を高めてもらうことも大切です。
従業員がやる気を高めることができれば、生産性が上がり、仕事のクオリティも上がるはずです。
実際にウォーリック大学の研究では、良い気分で物事に取り組んだ人は生産性が約12%上がるという結果も出ています。
逆に、やる気のない従業員に、クオリティの高い仕事をしてもらうのは非常に難しいことでしょう。
業務がなかなか進まず、計画に遅れが出ることもあるかもしれません。従業員のやる気を高めるには、経営者(上司)の存在が非常に重要です。
東京未来大学の調査によると、「やる気は上司の資質に左右される」と答えた人が81%だったそうです。従業員のやる気を高めるには、「感謝を伝えること」が非常に効果的です。
Unipos株式会社が行った調査では、感謝や賞賛されることが、仕事へのモチベーションにつながり、生産性も上がる、ことがわかっています。
なので、従業員に対して積極的に感謝を伝えることが大切です。
1-7.社員や顧客に対して誠実である
社員や顧客に対して誠実であることも、経営者に必要な資質の1つです。
「約束したことは絶対に守る」「社員や顧客に対して本気で向き合う」こうした姿勢によって、社員や顧客の信頼を獲得することができます。
もちろん、会社経営をしていく中では、状況が変わり、一度決定したことを覆さないといけなくなる場合もあるでしょう。
変化に対応する能力も、経営者にとっては必要です。
しかし、一度下した決定を変えることで、従業員からは「また経営者の言うことが変わったよ…」と思われてしまう可能性があります。
それでも「会社も社員も顧客も全部一緒に良くしていく」という姿勢を貫いていれば、信頼してついてきてくださる人は必ずいます。
こうして「どんなときでも、あなたの会社を信じてついてきてくれる人や会社」を増やすことができれば、会社を繁栄させていくことができます。
だからこそ、自分の事よりも他人の幸福を願う「利他の精神」で、社員や顧客に対して誠実であることを心がけていきましょう。
1-8.戦略的思考を持っている
経営者であれば、戦略的思考を持つことも大切です。
戦略とは、特定の目的を達成するための長期的な作戦です。
会社経営で言えば「経営理念を実現していくための長期的な計画」です。
つまり、経営者にとっての戦略的思考とは、「常に経営理念を実現していくためにどうしていくべきか?」を考え続ける、ということです。
戦略的思考があるからこそ、売上を伸ばす方法などの戦術が活きてきます。
売上を伸ばし、手にした利益を、経営理念の実現のために使っていき、社会に貢献してくことができるからです。
しかし、戦略的思考を持っていなければ、仮にたくさんの利益を得たとしても、そのお金を使う目的がありません。
すると、もっとお金を儲けようと、目先の儲かりそうなビジネスに手を出し、失敗してお金を失う、ということになりかねません。
戦略的思考を持つからこそ、社会に貢献していける形で会社を繁栄させていくことができます。
長期的思考を持つには、長期的な目標である経営理念を持つことが大切です。
経営理念の作り方は、1-2でお伝えしていますので、見逃してしまった場合はそちらを参考にしてみてください。
1-9.決断する勇気がある
決断する勇気をもっていることも、経営者の資質の1つです。
経営に関する判断には、リスクがつきものです。
高いリスクを回避し、会社として安定する選択をするもの大切なことです。
しかし、リスクを取らないということは、新しいチャレンジを行わず、現状維持をする選択をとることが多くなります。
すると、次第にジリ貧になっていき、最終的には会社が倒産してしまう可能性もあります。
なので、経営者としては、必要なときに必要なリスクを背負う決断ができる勇気は非常に大切です。
資質として「決断する勇気」を持っていなかったとしても、後天的に勇気を持つことができます。
決断する勇気を持つためには、「経営理念を絶対に実現させる!」という強い覚悟を持つことが大切です。
覚悟を持つことで、リスクを恐れず、経営理念を実現するための最短ルートを選んでいくことができます。
1-10.論理的思考を持っている
経営者の資質として、論理的思考を持っていることも大切です。
経営者は、1日の売上やコスト、従業員の作業効率など、様々な数字や状況を分析し、経営判断を下していく必要があります。
何を改善すれば売り上げが伸びるかわかれば、決断することは難しくありません。
しかし、気分や感情的な勢いばかりだと、場当たり的な対応が増え、試行錯誤もうまくいかず、業務改善が難しくなります。
1-11.需要を作り出すことができる
需要を作り出せることも、経営者の必要な資質の1つです。
既存のユーザーの需要に応えていくことも大切ですが、ライバルが多くユーザーの奪い合いになってしまいがちです。
すると、安売り勝負などになり、会社経営が苦しくなります。
なので、あなたの会社で売り出したい商品やサービスを、ユーザーが欲しがるように新たな需要を生み出し、独自の市場を生み出すことが経営者に求められます。
需要を作り出すことができれば、会社を繁栄させていくことができます。
1-12.優秀なリーダー層との人脈作りが上手い
リーダー層との人脈を構築しておくことも、経営者にとって大切なことです。
リーダーとの交流を持つことで、業界内の最新の情報を手に入れることができたり、困ったときに手助けしてくれる人を見つけることができたりします。
また、社内にばかり目を向けていると、どうしても視野が狭くなってしまいます。
視野を広げ、より最適な経営判断をしていくためにも、外部の人との交流を持つことが重要です。
1-13.素直で可愛げがある
意外かもしれませんが、素直で可愛げがあることも、経営者の資質としては重要です。
経営者は、自らが責任ある判断を下し、従業員を引っ張っていく存在です。
場合によっては、従業員を鼓舞し、自らが先頭に立つ強さが必要になることもあります。
しかし、強さだけでは人はついてきません。
正論ばかりを吐き、ハードワークを強いるだけでは、従業員に不満がたまってしまうからです。
そこで大切になるのが「素直さ」と「可愛げ」です。
従業員の指摘にも、耳を傾ける。
強さもあるけれど、ふと見せる油断した行動にツッコミ甲斐があって人間らしい。一緒に笑えたりもする。
そういった人間的な魅力に、人はついていこうと思うようになります。
素直さや可愛げを発揮するには、変に経営者として強くあろうと構えすぎず、いい意味で従業員と同じ一人の人間としてふるまうことが大切です。
1-14.健康状態に気を配れる
健康状態に気を配れることも、経営者の必要な資質です。
このサイトの運営者であり、20代で1000社以上の会社経営のコンサルティングを行ってきた小田真嘉さんは、「社運を高めるには、経営者が健康であることが重要」と言います。
なぜならば、経営者の健康状態が従業員にも移っていくからです。
経営者が肉体的にも精神的にも健康であれば、それが従業員にも移り、従業員が元気に働いてくれます。
すると当然、会社としては業務が進み、売上も伸ばしていくことができます。
しかし逆に、経営者が不健康だと、従業員も不健康になり、業務が滞るようになり、会社も活力を失ってしまいます。
経営者にとっては、仕事が第一で、自分の健康は二の次、という人も多いですが、自分の健康状態が会社の状態を左右するからこそ、健康にもきちんと気を配ることが大切です。
以上が「経営者に必要な14の資質」でした。
これら14の資質をより多く持っている方が、経営者として会社を繁栄させていくことができます。
14の資質の中で「欠けているな」と思うものがあれば、後天的な知識やスキルとしてでいいので、日々の業務や日常の中で磨くように意識してみてください。
本を読んだり、セミナーに通ったりするのも、後天的に知識やスキルを身に付け、欠けている資質を補う良い方法です。
とはいえ、完璧な経営者になるというのも、なかなか難しいことです。
そこで続いて第2章では「経営者の資質がない場合の対策」をお伝えします。
人は誰しも、強みがあれば、弱みもあります。
経営者の資質としてあなたが強い部分はどんどん伸ばしていき、弱みは別途補うことで、会社経営を成功させることも可能です。
2.経営者の資質がない場合の対策
第1章でお話しした経営者に必要な14の資質の中で、どうしても欠けている資質がある場合は、「自分に足りない資質を持つ人を巻き込む」ことで補うことができます。
経営者に必要な14の資質は、あくまで会社経営で必要なスキルや能力です。
それら全ての資質を、経営者ひとりで持つ必要はありません。
会社の中で14個の必要なスキルや能力をまかなえれば、会社を繁栄させていくことができるからです。
なので、あなたに欠けている資質があれば、その資質を持つ人を社内から引き揚げたり、外部の人材を登用してみたりすることで、会社経営に必要なスキルや能力を揃えることができます。
どうしても自分に欠けている資質がある場合は、周りに欠けている資質を補ってくれる人がいないか探してみましょう。
3.まとめ
経営者に必要な資質は、以下の14個です。
- 経営者の立ち位置がわかっている
- 経営理念を持っている
- 数字に強い
- 資金調達ができる
- コミュニケーション能力が高い
- 従業員のやる気を高める力がある
- 社員や顧客に対して誠実である
- 戦略的思考を持っている
- 決断する勇気がある
- 論理的思考を持っている
- 需要を作り出すことができる
- 優秀なリーダー層との人脈作りが上手い
- 素直で可愛げがある
- 健康状態に気を配れる
これらの資質をより多く持っている方が、経営者として会社を繁栄させることができます。
経営者としての資質で欠けている部分があっても、知識やスキルとして後天的に身に付けることも可能です。
また、もし欠けている資質がある場合は、欠けている資質を補える人材を社内や外部から活用することで、会社経営に必要な資質を揃えることができます。
会社経営を成功させるためにも、この記事を参考に、経営者としての資質を磨いたり、人材活用で補ったりしてみてください。