経営者の8つの役割と経営力を高める7つの施策
「経営者の役割がわからない」
「経営者としての仕事ができていないんじゃないか」
そんな悩みにお答えします。
会社を繁栄させるには、経営者が役割を全うすることが大切です。
経営は、営業や経理と同じように、会社を運営していくために必要な機能の1つです。
なので、もし経営者が営業や経理をしていたら、その会社の経営は誰もやっていないことになります。
経営者がいるのに、会社を経営している人がいなければ、その会社はいずれ潰れてしまうでしょう。
逆に、経営者が経営の仕事に打ち込んでいれば、会社の舵取りがうまくいき、事業を成功に導くことができます。
そこでこの記事では、以下の3つのことをお伝えします。
- 経営者の仕事とは?
- 経営者の8の役割
- さらに経営力を高めるために経営者ができる7つの施策
経営者の仕事や役割を1つずつチェックしながら読み進めてみてください。
それではまずは、「経営者の仕事」からお伝えしていきます。
目次
1.経営者の仕事とは?
経営者の仕事は、「経営理念を達成するために、従業員を動かして、顧客と従業員を豊かにしながら会社を繁栄させていくこと」です。
経営理念が達成出来たら、社会に大きく貢献できているはずです。
そのプロセスで、顧客と従業員を幸せにし、会社も繁栄させることができれば、関わる全ての人たちの人生にプラスの影響を与えることができます。
つまり、経営者の仕事とは、「世の中にさらなる幸せを生むこと」とも言えます。
では、経営者の仕事をするには、具体的に何をやればいいのでしょうか。
第2章では、「経営者の8つの役割」として、経営者の仕事をしていくために具体的にやることをお伝えしていきます。
経営者の役割がわかれば、何をすべきか迷うことが無くなります。
2.経営者の8つの役割
第2章では、「経営者の役割」として、以下の8個を紹介します。
- 自分の時間の管理
- 経営理念やミッションを作る
- 社会が求めるニーズの発見
- 事業の決定
- 事業計画の策定
- 組織づくり
- 資金配分の決定
- 健全性の確保
1つずつ詳しくお伝えしていきます。
2-1.自分の時間の管理
経営者の役割として、「自分の時間の管理」を身に付けることは非常に大切です。
マネジメントの発明者であるドラッカーは著書『経営者の条件』の中で、次のように述べています。
時間は最も希少な資源。時間をマネジメントできなければ、何もマネジメントできない
つまり、経営者として会社のマネジメントを行っていくには、まずは自分の時間をマネジメントできるようにならなければいけない、ということです。
経営者が時間を意識していないと、周りからの相談や電話対応でどんどん時間が無くなってしまいます。
すると、本来の課題にじっくり向き合う時間が無くなり、正確な経営判断ができなくなってしまいます。
正確な経営判断をし、会社の経営を軌道に乗せていくためにも、自分の時間を確保し、最優先事項に取り組めるようにすることが重要です。
2-2.経営理念やミッションを作る
経営理念やミッションを作ることも、経営者の役割の1つです。
経営理念やミッションを作ることで、会社の方向性が決まります。
会社の方向性が決まれば、その方向に事業や人を動かしていくことができます。
ですが、経営理念やミッションがなければ、会社としてどこに向かっていけばいいかがわかりません。
それでは経営者の仕事をすることができませんし、従業員をまとめていくこともできないでしょう。
なので、会社を始めるときには、まず経営理念やミッションを作成しましょう。
経営理念の作り方は、別記事『経営理念の作り方|重要な3つの要素を事例と共に解説』で詳しくお伝えしています。
また、ミッションの作り方は、別記事『事業のミッション・ビジョン・バリューの作り方』で詳しくお伝えしています。ぜひどちらもこの後に併せてお読みください。
なお、起業するのではなく、会社の経営者として任命された場合は、その会社の経営理念やミッションを確認してみましょう。
もし確認してみて、内容が時代に合っていないなどと感じる場合は、経営理念やミッションを作り直すことも考えてみてください。
2-3.社会が求めるニーズの発見
経営者の役割として、「社会が求めるニーズの発見」があります。
社会が求めるニーズを発見し、そのニーズを満たす事業を行うことで、社会貢献に繋がり、顧客や従業員を豊かにしていくことができます。
会社で進めていく事業を決めるためにも、社会が求めるニーズに敏感になっておきましょう。
2-4.事業の決定
やっていく事業を決めることも、経営者の役割の1つです。
経営理念やミッションを決めて、社会が求めるニーズがわかったら、具体的にどんな事業をやるか決めていきます。
事業は儲かることをやればいいわけではありません。
会社を繁栄させるには利益も大事ですが、会社の存在意義は「経営理念を実現すること」です。
なので、経営理念を実現していける事業をしていくことが大切です。
経営理念を実現するために、何をやり、何をやらないかを決めていきましょう。
2-5.事業計画の策定
事業計画の策定も、経営者の役割の1つです。
事業の目的や目標を明確にし、組織が実行していける具体的な計画に落とし込んでいきます。
事業計画は、単に目標やスケジュールを決めればいいだけではありません。
顧客や従業員が豊かになり、同時に会社も繁栄していくように、現場が効率よく機能する事業の全体像を描くことが大切です。
現場が効率よく機能する事業の全体像を描くには、ときには現場の声を直接聞いてみると良いでしょう。
事業計画の具体的な作り方は、別記事『事業計画の考え方6つのステップ|これで事業計画が作れます!』でお伝えしています。ぜひこちらも併せてお読みください。
2-6.組織づくり
組織づくりも、経営者の重要な役割です。
会社の事業は、決して一人で進めていくことはできません。
たくさんの従業員が働いてくれるからこそ、事業の成功や会社の発展があります。
そのため、事業を成功させるために必要な人材を育成し、組織を作り上げていく必要があります。
組織づくりで一番重要視すべきは、「価値観の共有」です。
価値観が共有できていれば、組織に一体感が生まれ、みんなで力を合わせることができるからです。
すると、課題があっても「みんなで乗り越えていこう!」という勢いが生まれます。
しかし、価値観がバラバラだと、課題に直面したときに従業員それぞれが考えていることがバラバラになり、組織が空中分解することも考えられます。
組織が空中分解してしまったら、課題を乗り越えていくことができません。
価値観を共有するためには、バリュー(ミッション、ビジョン、バリューのバリューです)を定めて、組織に浸透させていきます。
バリューの決め方は、別記事『事業のミッション・ビジョン・バリューの作り方』で詳しくお伝えしています。この後あわせて読んでみて下さい。
2-7.資金配分の決定
資金配分の決定も、経営者の役割の1つです。
進めていく事業が決まったら、その事業のマーケティングや商品開発、人材育成などにそれぞれどのくらい資金を使うか決めていきます。
マーケティングも商品開発も人材育成も、資金を十分に使って、出来る限り仕事のクオリティを上げたいでしょう。
しかし、使える資金には当然限りがあります。
なので、一番効率的に資金を使えるように、配分していく必要があります。
2-8.健全性の確保
健全性の確保も、経営者の役割として非常に重要です。
たとえば、粉飾決算は経営者の承認がなければできません。
過去に発覚した東芝やオリンパスの粉飾決算では、株価が大幅に値下がりし、会社にも投資家にも大きな損害を出したこともあります。
いくら大きな企業でも、こうしてたった数人の経営者の判断で、大きく会社経営にマイナスの影響を与えてしまいます。
しかしこれらは、経営者が正しい倫理観を持ち、健全性を確保していれば防げることです。
会社や投資家、従業員、顧客を守るためにも、目先に誘惑に負けずに、自制心を持ち経営の仕事をしていきましょう。
以上が、「経営者の8の役割」です。
経営者の8の役割を1つずつ全うしていけば、自然と経営者としての仕事が出来るようになっているはずです。
まずは自分自身の出来ていなかった役割を認識し、1つずつできるようになっていくことが大切です。
さらに経営者としてより良い仕事ができるようになるために、次の第3章では「さらに経営力を高めるために経営者ができる7つの施策」をお伝えします。
この7つのうち1つでも行うと、経営者としての影響力が上がり、会社に大きく貢献できるはずです。
3.さらに会社を繁栄させるために経営者ができる7つの施策
第3章では、「さらに会社を繁栄させるために経営者ができる施策」として、以下の7つを紹介します。
- 影響力を高める
- ロールモデルを作る
- ミッションリンクを行う
- 役割と役目を明確にする
- 個性や強みを活かしあえる関係性を作る
- 従業員を感化する
- 社運を高める
1つずつ詳しくお伝えしていきます。
3-1.影響力を高める
経営者自身が影響力を高めると、会社の繁栄に大きく貢献することができます。
影響力が高い状態とは、存在するだけで周りを引き付ける存在であるということです。
たとえば、周りの人から「ついていきたい!」と思われるようになったり、地域の人から「この会社はうちの地域の自慢!」と思ってもらえたりする存在です。
影響力を高めるには、まずは自分の人生観と経営理念を一致させていくことが大切です。
「あなたは、なぜその経営理念を掲げるのか?」という質問に、自身の人生経験や人生哲学を通して答えられる場合は、自分の人生観と経営理念が一致していると言えます。
あなたの人生観と経営理念が一致したら、決めた経営理念をあなたが体現していくと、周りへの影響力がどんどん高まっていきます。
3-2.ロールモデルを作る
ロールモデルを作ることも、会社の繁栄に大きく貢献する方法です。
ロールモデルとは、「こんな風になったら最高だ!」というストーリーです。
たとえば経営コンサルタントをしている場合なら、以下のようなロールモデルが考えられます。
「経営不振で困っている経営者が、『従業員を幸せにするために何とか経営回復したい!』と相談に来てくれて、経営をV字回復させ、従業員を幸せにし地域を代表する会社になっている」
このように、「こんな顧客がこんな風に喜んでくれたらいいな」「従業員がこんな風に楽しく働いてくれたらいいな」というロールモデルを作ります。
作ったら、従業員や顧客にシェアしていきます。
ロールモデルを伝えることで、ただ単に「経営回復します」「高収入が得られる会社です」というよりも、顧客や従業員は理想の状態をよりイメージできるようになります。
結果、仕事を依頼してくれたり、前向きに働いてくれたりするようになります。そして、会社の業績が伸びやすくなります。
3-3.ミッションリンクを行う
従業員に対してミッションリンクを行うことも、会社をより繁栄させていく効果があります。
ミッションリンクとは、経営理念と従業員のやりたいことを一致させることです。
経営理念と従業員のやりたいことが不一致だと、前向きに働いてくれる従業員がなかなか増えません。
たとえば、経営理念として「地域貢献」を掲げたとしても、従業員が「地域貢献よりも自分の生活や家族が大事」と思っていたら、「経営理念を一緒に実現させていこう」とは思ってくれません。
「とりあえず、給料が貰えるように働いておこう」と考える従業員がほとんどだと思います。
これでは、クオリティの高い仕事をし、会社を繁栄させていくのが難しくなります。
会社を繁栄させていくには、従業員の力も必要不可欠です。
経営理念と従業員のやりたいことを一致させるには、「経営理念を実現することで、従業員の人生もこんな風によくなる」と伝えることです。
たとえば、「地域貢献」を経営理念として掲げるのであれば、「地域貢献をするためには、地域の経済活動を活発化ことが大切。そのためには、会社の業績をアップし、得た利益を従業員に還元して地域で使ってもらうようにしていきます」と、伝えるのが1つの手です。
こう伝えることで、従業員は「この会社で頑張れば、自分の給料も上がる!」ということがわかるので、仕事に対して前向きに取り組んでくれる可能性が高まります。
3-4.役割と役目を明確にする
会社を繁栄させるには、社員の役割と役目を明確にすることも大切です。
役割とは、やらなければいけない任された仕事のことです。
経営者で言えば、経営理念を決めたり、事業の方向性を決めたりすることです。
営業であれば仕事をとってくることで、経理であればお金の管理を間違いなく計算することです。
役目とは、会社の理想や方向性のことです。会社で言えば、経営理念です。経営者も従業員も、社員全員が目指すべきもののことです。
社員全員が目指す役目を明確にし、役目を全うするために各々が役割を確実にこなしていく組織は、一体感があり、課題に直面しても協力して乗り越えていくことができます。
3-5.個性や強みを活かしあえる関係性を作る
社員同士が個性や強みを活かしあえる関係性を作ることも、会社の繁栄に繋がります。
強みを活かしあうことで、仕事で新たな可能性が生まれたり、よりクオリティの高い仕事ができたりします。
事業を進めていく上では、言われたことを確実にこなしてくれる従業員も大切です。しかし、それだけだと仕事が常に受け身になり、指示待ちの従業員ばかりになってしまいます。
すると、現場からアイデアが生まれず、人も育たず、会社を長期的に繁栄させていくことが難しくなります。
アイデアを生むことが出来る経営陣がいなくなったら終わりだからです。
そうならないためにも、社員同士の個性を活かし、どんどん人を育てていくことが大切です。
3-6.従業員を感化する
従業員を感化できれば、会社はどんどん繁栄していきます。
感化とは、やる気やモチベーションを高めることです。
従業員を感化することができれば、「仕事を頑張ろう!」「この会社のために頑張ろう!」と思ってもらうことができます。
すると、前向きに働いてくれる従業員が増え、組織が活気にあふれ、顧客から評価される事業を成し遂げていきやすくなります。
3-7.社運を高める
社運を高めることも、会社経営にとっては非常に重要なことです。
誤解を恐れずに言えば、会社経営は運の良し悪しで決まる、と言っても過言でありません。
もちろん、「結局は運だから、何もしなくてもいい。なるようになるしかない」と言いたいわけではありません。
社運は、自身の行動で高めることができます。
この「仕事の秘訣」というサイトの監修者であり、今まで1万人以上のビジネスパーソンに良い影響を与えてきた経営コンサルタント『小田真嘉』さんは、よく次のように話します。
長く活躍されている方、長く続いているお店や会社は、必ず徳を積む何かしらのことをされています
会社を繁栄させていくには、「徳が重要」ということです。
徳を積む方法は、別記事『徳を積む7つの方法|仕事や人生を豊かにする徳とは良い想いや行いのこと』で詳しくお伝えしています。ぜひ併せてお読みください。
以上が、「さらに会社を繁栄させるために経営者ができる7つの施策」です。
会社をさらに繁栄させていくためにも、経営者の仕事や役割に加えて、この7つの施策をやってみてください。
1つやってみるだけで、会社や従業員が変わっていくのが感じられるはずです。
まとめ
経営者の仕事は、「経営理念を達成するために、従業員を動かして、顧客と従業員を豊かにしながら会社を繁栄させていくこと」です。
その仕事を全うするための経営者の役割は、以下の8つです。
- 自分の時間の管理
- 経営理念やミッションを作る
- 社会が求めるニーズの発見
- 事業の決定
- 事業計画の策定
- 組織づくり
- 資金配分の決定
- 健全性の確保
その上で、さらに会社を繁栄させるために経営者ができる施策が以下の7つです。
- 影響力を高める
- ロールモデルを作る
- ミッションリンクを行う
- 役割と役目を明確にする
- 個性や強みを活かしあえる関係性を作る
- 従業員を感化する
- 社運を高める
これらを実施していくことで、経営者として会社の繁栄に大きく貢献することができます。
ぜひこの記事を参考に、経営者としての仕事により注力していってください。